謝罪のフォーマット

先週あたり、2本の謝罪メールが届きました。どちらも企業関連で、1本は個人情報漏洩の可能性を伝え、もう1本は送信時の敬称略を詫びるもの。前者はかなりヤバそうですが、「お客様には該当しません」らしいので、特に掘り下げませんでした。後者は送信自体を受け取っていないし、もし受け取っても敬称略なら笑い飛ばせたと思います。
ふと気になったのは、問題に気付いた担当者の焦り方です。「なんてこった!」と慌てふためいたでしょうね。あるいは、ミスは避け難いものと悟り抜いている人なら、「まぁ仕方ない」と、むしろ冷静に構えたかもしれない。
いずれにせよ、あちこちに正義の自警団が潜んでいるこのご時勢では、隠蔽などしたら二度と立ち直れないくらいに叩きのめされかねません。だから、まずは謝罪の意思表明と事態の詳細報告。加えて事後の対応策を伝えなえければならない。重要なのは、報告するまでの時間の短さでしょう。遅くなるほどに隠蔽を疑われますしね。
ただ、謝罪にもフォーマットがあるように感じます。ミスの内容を書き換えるだけで通じるような文面を備えているんじゃないか。一種のリスクヘッジとしては必要不可欠な準備と言えるでしょう。
あるいは、謝罪という行為自体に、人々が求める誠意を満たすようなフォーマットがあるんだろうと思います。この国では、先に事情を口にすれば言い訳と取られるので、まずは頭を下げてしまえばいいのかもしれません。でもなあ、と思いますけど。
自分はどうだったかなあと、古い記憶を探りました。若い時分の会社員時代、営業畑の上司に言われたのは、「こちらの不手際が明確なら、すぐ謝りに行け」でした。すぐは嫌でしたけれど、面倒をかけられた相手にとってはこっちの気持ちなど関係ないんですよね。だからフォーマットもクソも関係なく、顔面を強張らせながら相手先を訪ねました。今思えば、時間が経つほど膨張する怒りからミスした若者を救ってくれたのも、古典的な謝罪のフォーマットだったのでしょう。
今昔の謝罪で何が違うかというと、デジタルとアナログ、ロジカルとフィジカルなのかもしれません。それらが及ぼす誠意の度合いについては、あえて言及しないでおきます。件の2本の謝罪メールも、分析する前に消去しちゃいましたし。

イベント開始40分前。

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