マンガ!

僕の人生にはたくさんの欠落があるのだけど、飲み屋あたりで皆が盛り上がろうとするとき、すうっと気配を消したくなるのがマンガの話題です。そしてこの件は、久しぶりにマンガを買ってみた、というトピックにつながっていきます。
実は、マンガが大好きでした。中学生くらいから30歳を少し過ぎるまで、週刊のジャンプやマガジン、サンデーを発売日の当時に必ず買っていたのです。ただ、青年系にはなぜか行けず、それはたぶん、少年系のキラキラした躍動感に惹かれ続けたからなんですね。
その習慣をあるときバッサリ切ったのは、大人としてどうなんだろうと疑問を抱いたのと、いよいよいよキラキラの躍動感についていけなくなったからだと思います。
そうしてマンガ文化からすっかり遠ざかった結果、誰もが知っている名作を知らないまま来てしまった。それで何か困ったことはないけれど、見栄っ張りな性格だから話題に乗れないのが悔しく寂しく、だから周囲が盛り上がろうとするときには、そこにいなかった振りを決めるしかなかった。それこそマンガだったら、体の輪郭だけ点描にして透き通らせてくれるんじゃないかと思いながら。
とは言え仕事関連の資料として、いくつかの作品に触れたことがあります。いわゆる大人買いで、全10巻を一気に読み飛ばすみたいな。でも、なぜかワクワクしませんでした。資料だったこともあるでしょうが、その全部に目を通さなきゃいけない義務感が、たぶん僕のマンガの読み方と違ったのかもしれません。そうしてまた、マンガの世界から離れていったわけです。
そんな日々を過ごしている中で、テレビかなんかの聞きかじりで知った読み切り単行本を買い求めました。藤本タツキさんの『ルックバック』と『さよなら絵梨』。作者もこの2作品も有名だと思うので、僕が今さら何かを語ることはしません。ただ、自分から読もうとして本屋まで行って購入した久しぶりのマンガがこれでよかったと、それだけお伝えしておきます。躍動感が必ずしもキラキラするための添加物ではなく、ダークな方向でも弾けられることを教わった、僕の知らなかったマンガの可能性を諭してくれました。お前が知らなかっただけだろ? って話ですね。
この経験で、欠落していたマンガ文化を取り戻せるかというと、どうなんでしょう。ストーリーはもちろん絵の好みもあるので、一つの作品を好きになるのは難しい。何より描く人も大変だろうなというのは、今の正直な感想ですね。
ちなみに、手塚治虫さんの命日にちなんで、今日が漫画の日に制定されているというのは、完全に後から知った情報です。

勢いで4冊同時購入したんだった。

 

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