諦めと執着の狭間に

フィジカルの専門家から聞いた情報をそのまま垂れ流します。正誤未確認ですのであしからず。
アスリートの怪我の治療では、最先端の再生医療が常識化しつつあるそうな。たとえばPRP療法と呼ばれる方法は、自分の血液を採取して幹細胞の一種である血小板を取り出し、患部に注入するらしいんですね。目的は早期回復。それが叶うのは、組織の修復を促進する成分が血小板に含まれているから。理屈は簡単なのかもしれません。手術でも怪我は治るけれど、通常の治癒過程で生成される血小板に任せるよりは、別に追加したほうが早く治るのだろうと思います。
そうした細胞レベルの医療は、より重大な疾病の治療のためだけに生かされていると思っていたのですが、その認識が古かったみたいです。もちろん、アスリートの怪我は選手生命に関わるので重大でないとは言えませんが。
実は、ここまでは他人事として聞いていました。ぐっと乗り出してしまったのは、再生医療が若返りそのものだと教えられたからです。治癒能力が高い=若い時分の自分の幹細胞を採取しておいて、歳を重ねてから注入すれば怪我の完治が早くなる。肌なども以前の状態に戻せる。それこそが内側からのアンチエイジングということで、美容系でも再生医療の活用は盛ん。今はまだかなり高価らしいですけれど。
なるほどなあと感心しつつ、けれど今の自分のくたびれた幹細胞をキープしても仕方ないですよねとたずねたら、「現時点で十分に健康なら10年後には大いに役立つかもしれませんよ」と言われました。唸りましたね。この話を40歳で聞いたならそこまで食いつかなかったでしょう。しかし60歳からの10年後を見据えると「う~む」です。
それからいろいろ頭を巡らせて、ならば30歳のときに幹細胞を採取しておけばよかったとか、いやいや浦島太郎が現世に戻った瞬間、竜宮城で過ごした歳月の分だけちゃんと爺さんになれたから物語に意味ができたんだとか、考えるほどによくわからなくなりました。オレは若返りたいのか? 諦めと執着の狭間に立つ年頃なんでしょうかね。

削り取られた屋根からのぞく青空の哀しさ。自分の家でもないに、なんか切ない。

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