何かの集まりがあると、「いろんな人とつながってよ」と促されたりします。そんな言葉に「そうだね」と返すだけで行動に移さないでいると、仕舞には「いろいろつながったほうがいいよ」と諭されます。
なぜだか僕は昔から、そういう場面で言われる「つながり」づくりがひどく苦手です。本人が告白しても信じてもらえないでしょうが、実は人見知りゆえ社交的な性格ではなく、なおかつ人が大勢集まる場所や集団行動が苦手。だから、そもそも集まりのようなものに積極的に参加したい気持ちになりません。
あるいはより深く自己分析すると、見知った人ばかりでないと自信が沸かない臆病者のくせに、自分からへりくだることのできない頑固者でもあるらしい。どうでもいいプライドが強すぎるのでしょう。そのせいで新たな出会いや経験の機会を失い続けているのかもしれない。
それはかなり損かもなあと思うのは、つながりを大事にしている人の話を聞いたときです。つい先日聞いたのは、10年以上前に行われた勉強会で知り合った仲間との同期会でした。その様子を教えてくれた方は、「あれ以来、それぞれ会社で偉くなったので、営業職の自分にはメリットばかり」とおっしゃいました。そのメリットとは、話を聞いてくれる決裁権者にたどり着く速さなのでしょう。
それが俗に言う人脈の効能であることは理解できます。そしてもはや説明するまでもなく、面倒臭い性格に縛られがちな僕にとってそれは、なぜかためらってしまう関係性でもあります。ただ、同期会の話をしてくれた方が人脈の重要性だけを語ったなら、僕は自らを省みることはありませんでした。
何だかとても楽しそうだったのです。互いの会社を訪問し合ったり、個々の現在の悩みを打ち明け合ったり、ご本人は口にしなかったけれど、それこそがその会のメリットみたいでした。互いのスタートラインが同じだと、そういう親身なつながりが生まれやすいんでしょうね。そういう同じスタートラインに立つ機会すら遠ざけてきたから、僕には楽しいつながりがつくれなかったのかもしれない。そう気づいたのが最大の残念ポイントでした。
ごく自然に醸成されていくのがつながりだと思ってきたけれど、何か違うみたいですね。
好きな色。