その3/大砲ラーメン2階、『きはる』の豚足柚子胡椒炒め
森さん、よほどこの店が気に入っているのでしょう。
「パリと博多は似ている」という奇想天外な発言も飛び出す
中州の『きはる』から、さらにもう一品のアテを!
地方には必ず、その土地ならではのスパイスがある。
特に、辛いもん系には、その土地土地の個性がぷんぷん。
沖縄のコーレグース、もうちっと南、八重山のピイヤーシ。
単なる七味唐辛子だって、京都とお江戸じゃ味が違う。
そして、新潟のかんずりに対抗するのが九州の柚子胡椒だ。
もともと、九州人は青唐辛子のことを、単に胡椒と呼ぶ。
だから、柚子の皮と青唐辛子を摺り潰して混ぜれば、
当然のことながら、名前は柚子胡椒となるわけである。
赤い唐辛子を使うと、もっと「かんずり」っぽくなるが、
九州人は、青いのが好き、青臭い住民なんである。
で、ウチナンチューとおんなじように、何にでもかける。
その極みは、なんといっても刺身だろう。ワサビは邪道よ!
生粋の九州ロコなら、刺身は柚子胡椒かぬた味噌でしょ。
この辺も、なんだかとってもウチナンチューに近い。
単に南の好みなのか? ま、ワサビ産地が少ないせいもある。
今ほど冷蔵庫が普及したり、クール宅急便もない時代。
きっと、時々、魚は生臭い匂いを放っていたのかもしれない。
そんな時は、ワサビよりも柚子胡椒やコーレグースだ。
ぬた味噌の中の大量の砂糖は防腐剤の意味もあったろう。
柚子胡椒は油とも相性がよく、餃子にもバッチリ合う。
だから、屋台なんぞでは柚子胡椒がメニューに大活躍。
大砲ラーメン2階の『きはる』で見つけたアテは、
そんな屋台メニューを、優れた感性で磨いた逸品だった。
もともと、豚足は九州の酔っぱらいの必須アイテム。
夕方にもなると、各酒屋の店先で酒盛りが始まる。
酒屋の片隅で立ち飲みさせる、いわゆる角打ちって奴だ。
コップ酒か、焼酎、ビールなんて贅沢は絶対にしない。
アテは魚肉ソーセージか、カンヅメ、かわきもん…。
その中のチャンピョンが豚足サマである、なんせ持ちがいい。
チビチビとせこくしゃぶっていると、いつまでも飲める。
しかも、コラーゲンでお肌ツヤツヤよ、
なんて、ま、そんなことは、どの親父も思っちゃいないだろうが、
あの頃の九州のおっさんたちは、みんなピカピカしていた。
で、話は『きはる』の豚足、なんと柚子胡椒炒めと来た!
丁寧に脚のお骨は掃除して、脚の皮がカリカリになってる。
柚子胡椒のスパイシーさで、独特の豚足臭も感じられず、
気分は限りなく、ピエ・ド・コション、レアールな感じだ。
そう言えば、パリと博多はどこかとっても似ている。
なーんて言っても、誰も信じてくれないだろうなあ。
僕はいつでも、どこでも、豚足と内臓の味方である。
フランス、韓国、沖縄、内臓好きな民族に惹かれる。
豚足柚子胡椒炒めには、日本と韓国とフランスが!
やっぱり、ここはアジアの入り口・博多なんである。
東京より、圧倒的に釜山の方が近い、そんな土地だ。
小倉港からは、ロシア行きの船にだって乗船できる。
豚足を食らいつつ、いろんな国に想いを巡らせる。
いい感じに黒糖焼酎が、頭に、体に、まわって来た。
幸せぢゃ……。兄さん、もいっかい、サバもらおうかな。
ついに出ました、森さんの「内臓の味方」発言。実はこのコンテンツ、最初は「今日のモツ(内臓)」というタイトルでいくかもしれなかったのですよ。(T.T.)

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