その5/勝どき橋あたり、『かねます』の魚煮つけ

前回に引き続き、今回も勝どき橋の名店を。
なぜ2回もお届けするかというと、
外国の料理家がこの店の味に思わず唸った!?

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前回に続いて、ブーム以前から何十年も立ち飲み一筋。
勝どきの名店『かねます』から、口からよだれの一品。

メニューはシンプルに「魚煮つけ」、しかし、きんき一匹。
ちなみに「から揚げ」はオコゼ一匹、「サラダ」はアワビ、
「味噌汁」は伊勢海老、「天ぷら」は松茸のハモ包み。
この店には、体裁も、常識も、何もない、ただ旨い。

かつて、スペインのエルブリ一行が来日した時のことだ。
彼らは、新しいレシピのヒントを求め、日本味紀行。
その様子は、テレビの特番となってカメラに収められた。

たとえ京都の名店だろうが、ほとんど無視の強気な彼ら。
ところが、お世辞にも豪華とは言えない立ち飲み屋で、
突然、顔色を変え、デジカメとメモを取り出して大騒ぎ。
その舞台こそが『かねます』。ハイボールで旬を出す店だ。

「まぐろ」を頼むと、冷凍庫でも凍らない脳天すき身を、
やおら俎板の上で、茗荷を載っけ、海苔一枚で巻き始める。
簡単に言えば、太巻き一本の中身が全部まぐろ状態。

「雲丹の牛巻き」は、あの最上級「小川のうに」を、
とんでもなく上質な生の牛肉の中に、これでもか! と投入。
ここまでやると失敗しそうなのだが、見事なバランス。

エルブリが驚くのも当たり前な、ここんちのすごいとこは、
酒のメニューに歴然。なんと皆ハイボールを飲む。
しかも、ホワイトオークという安ウイスキーに梅エキス入り。
京都の料亭が逃げ出す食材に、思い切り下町な酒メニュー。

なんと、ハモを出しても、ミツカン味ポンをザーっ。
当然、中身を入れ替えてると疑う客たちの目の前で、
大将と息子の親子コンビは、平然と新品の封を切る。
道路拡張で移転する前、一軒家だった頃は灰皿もなかった。
みんな平然と、床にばんばん灰を、吸い殻を捨てる。

とにかく型破りなここんち、立ち飲みにしては高い。
しかし、材料の原価を知る食通には信じられない値段。
当然、飲食店などの同業者や、築地の関係者たちも多い。
4時開店、その日のメニューが書かれた2枚の黒板は、
7時くらいまでには真っ白、いや、真っ黒に変わる。
もし、行きたくてたまらなくなったら、早めにどうぞ。

(煮つけを食べ終わると、「お湯かける?」と言って、
鍋に湯を沸かしかけてくれる。この気遣い、たまりまへん)

海外の料理人が絶賛したのが小さな居酒屋って、ほとんどマンガみたいに痛快ですね。なんか気持ちいい!(T.T.)


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