その7/栄町市場あたり、『おでん東大』の焼きてびち

今日の「アテ」も沖縄から。
しかも「おでん」と「焼きてびち」?
南の島で「おでん」? 「てびち」って?

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夏の夜はなんと言っても、おでん。しかし、コンビニじゃない。
じゃあ、どこで食うのよ、いったい? もちろん、沖縄に飛べい!
おでん天国・沖縄は、冬だろうが、夏だろうが、年中無休。
ちょいと小腹を満足させつつ、泡盛にもばっちり合うから、
おでんの力なくしては、酒場の夜はなかなか更けていかない。

しかし、「ちょいとコブに豆腐、大根ちょうだい」なんて、
あっさり・さっぱりの渋~い世界を想像したあなた、
沖縄のおでんは、本土とはまるっきり違う、別の料理だ。
たしかに、大根も、昆布も、入ってはいる、一応ね……。
だが、主役は絶対に「てびち」、つまりは豚足である。

黒いスープの中で徹底的にトロトロに煮込まれた豚足。
一見しつこそうに見えるのだが、実はさっぱりしている。
で、てびちがおいしい名店の中で、ひときわ光る異端派。
それがこれ、『おでん東大』の名物である焼きてびちだ。
ご覧の通り、巨大な円形のかたまり、ただそれだけである。

まぁ普通に見れば、どう見ても美味しそうとは思わない。
しかし、一度でも食べたことがあれば、条件反射でよだれ。
とにかく習慣性が極めて強い、とても危険な食べ物である。
見ただけでは分からない食感は、表面パリパリ、中はとろっ。
この巨大な円錐形のすべてがコラーゲンのかたまりだから、
食ってる横からお肌つやつや! になったような気がしてくる。

作り方はシンプルなのだが、技術と時間を要する。
トロトロになった豚足を、丸いフライパンに満たしたら、
ひたすら火を加えて行く、やがて豚足はドロドロ状態に!
すべてが一体化した豚足の集合体を、今度はカリカリと焼く。
片面を焼いてはポーンと空中に上げ、引っくり返す。
また片面が焼けたら、ポーンともう1回、引っくり返す。

これをくり返しているうちに、豚足は茶色いピザ状態へ!
カリカリの表面に、サッと酢醤油をかけ回したら、
はぐはぐと口にほおばり、どんどん着実に平らげて行く。
やがて、小さな脚の骨だけが皿の上に重ねられ、
泡盛が強烈な勢いで、次々と空になって行く。
もう、一度食べたら忘れられない衝撃の一品である。

この焼きてびち、『東大』のお姉さんをコンロ前に釘付けにする。
だから、極端に忙しいときは、涙を飲んで自粛してほしい。
まあ、それでも心配は無用、これまた酢醤油が爽やかな、
さっとボイルしたミミガーとハツの盛り合わせを食べながら、
気長にゆっくりと、真打ち、焼きてびちの登場を待とう。

もちろん、普通のおでんのてびちも、しみじみとうまい。
そして、ここだけの話しだが、カルチャーショックな安さ。
しかも、朝方まで営業している「開いててよかった」な店。
モノレールが開通した今は、アクセスだってすこぶるいい。

ただし、男子一人で出かける方は心して臨むほうがいい。
ここ栄町市場のまわりは、夜鷹なオバハンたちの本拠地。
お客さまが入ると、ストンと内側から鍵がかかってしまう。
さきほど、オバハンと言ったが、正確には、ほぼオバア。
その「遊んでかない?」口撃を一身に受ける覚悟がなければ、
至福の焼きてびちにはありつけない、心して路地を行け!


オバアの口撃をかわせる自信はないけど、玉砕覚悟で突撃するだけの魅力はありますよね 森さん?(T.T.)


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