その11/東大門競技場あたり、『タッハンマリ』のタッハンマリ

今回もまた韓国からのアテ。
鶏好き、白湯好きにはたまらない料理が登場。
見てるだけでお腹が鳴ります。

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韓国では、まず絶対に飲み過ぎてしまう。あ、どこでもか。
まずはアテがうまくて、辛い。だから、喉がかわく。
でもって、ジンロに代表される韓国焼酎がこれまた、安い。
本国流にちっちゃいグラスでストレート飲みすると、
あっという間に2本、3本と、空のボトルが並んで行く。

で、次の朝には二日酔い専門のヘージャンククを飲んで復活!
(上のお話があれれ? という方は、前回を読んでね)
もしくは、24時間営業が多いソルロンタンをぐーっと飲む。
牛の清冽なスープに韓国春雨、ご飯をぶっ込んでもいい。
しかし、もひとつ忘れちゃいけない清潔な美味がある。

それがずばり『タッハンマリ』。店の名前もそのまんまである。
『タッハンマリ』とは、直訳すると「鶏一匹」ということらしい。
ソニン似の梨花女子大生が優しく微笑みながら教えてくれる。
韓国女性が言葉を発音するとき、その瞬間の口元の様子は、
もう辛抱たまらないほど、美しく、セクシーである。
おーっと、鶏のお話でした、韓国女性の美しさの件ではない。

名前そのまんま、鶏を丸ごと煮込んだ『タッハンマリ』は、
でっかい洗面器みたいな器の中、ネギと一緒に沈んでいます。
要するに、いったん完成して冷えたスープ状態、
それをもう一度、ぐつぐつとテーブルの上で煮込んで行く。
で、博多の水炊きみたいに白濁する一歩手前で火を弱火に。

まずは、そのまんまのスープをぐびり、なんなんだこりゃ!
塩ラーメンブームの中、鶏の白湯スープを売り物に、
たくさんの店が清廉な味なんぞを主張しているようだが、
はっきり言って、あんなもん、これに比べたら場末の女。
もはや擦り切れかけた夢と未来、ってなもんに思えてくる。
白く美しい鶏の、えも言われぬ感触と口中に広がる充実感。

そんな僕を見つめながら、目の前のソニンが何やら始めた。
右手にハサミ、左手にトングを持ち、鶏を解体し始める。
さっと、手元の小皿にザックリ切られた鶏が入れられる。
しかも、その中にはすでに、彼女ブレンドのタレが入っている。
あんまり辛くない韓国唐辛子とマスタード、微妙な醤油、酢。
そこに、さっきの鶏をつけてみると、病み付きになる旨さ。

幸せな気持ちで、冷えたチャミッソルをぐびりと飲る。
あっという間に、目の前のソニンも合わせて、ぐびり。
かと思うと、今度は鍋の中に大量のニンニクを投入!
ここでスープの味は様変わり、さっきのスープもいいが、
ニンニク投入後のスープにソニンダレをちょび、たまらんっ。


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なーんて思ってると、ニコニコしながらソニンちゃん、
今度はガンガン、キムチを鍋に放り込んでいる。
もう、もうどうにでもしてー、とか思う暇もないお酌の嵐。
刻々と変わるスープの味と、全然パサつかない鶏の肉。
最後は麺を入れて、ほんとにラーメン状態になる。
おや、向うのテーブルでは日本人観光客が餅を入れている。

「タメです!トッポギ(餅)入れるなら最初ね」とソニン。
なるほど、現地のものはやっぱり流儀に従わないといかん。
すっかりおなかいっぱいになって、まだ暖かい表に出ると、
ライトアップされたきれいな川が、近くに見えている。

この川、もともと埋め立てられて道路になるはずだった。
でも、前ソウル市長が川と豊かな自然を復活させたらしい。
市民はみんな、前市長を大絶賛、川沿いには歩道もできた。
「東大門から、鐘路まで、じゅっと川を歩きましょうか」
歩く、歩く、君となら、地の果てまでだって歩きたい。
風景も、人も、何もかもマシソよ! ソウルの夜が更けて行く。

『タッハンマリ』のためだけに韓国に行ってもいい。けれど森さん、“ソニン”の写真はないんですか? (T.T.)


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