その14/代々木駅そばの千駄ヶ谷、『煮込み屋なりた』の鶏と豚のパイ包み

ちょっと前に韓流シリーズをお届けしたかと思えば、
花の都パリに思いをはせる。ああ、世界をめぐる今日のアテ……。
かと思えば本題は、千駄ヶ谷で見つけたフレンチでした。


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ベルナルド・ベルトルッチが「ドリーマーズ」を撮ったとき、
彼を追って、BBCが制作したドキュメンタリーがある。
その中でベルトリッチは若き日を追憶しながら少しはにかんで言う、
「映画はフランス語で撮った。なぜイタリア語じゃないって?
だって、映画の言語はいつだってフランス語だからね」

おーっ、かっこいい、さすがにイタリア人のくせして、
僕はヌーヴェル・バーグだと断言する彼ならではの名言だ。
そう、トリュフォーにゴダール、僕もフランスに憧れた。
バブル全盛の頃、仕事でパリに一ヶ月ばかり居た頃、
凱旋門の向うに夕暮れの街が見えたとき、泣きそうになった。

エトワールにある、あの壮大な凱旋門じゃない。
サンドニのはずれにひっそりとある、あの凱旋門。
何度も何度も映画の中で見ていた、あの凱旋門。
だから、サンドニとかレアールとかをぐるぐると、
用事もないのに、いつまでもずっと歩き回っていた。

おなかが減ると、通りの定食屋に駆け込んで何か食べる。
体を張って商売してる人はエスニックな人たちが多いから、
モロッコからセネガルまで、いろんな食の要素が混じる。
ボンデージのお姉さんがワインを奢ってくれたこともある。
だから、僕のパリはメランジェ、多国籍な熱い街だ。

日本に帰ってきたら、いちばんに浅草に駆け込んだ。
ロックからひさご通りを抜けて、吉原に抜けるあたり。
ここがどこよりもパリっぽい。そんな僕の言葉は、
ほとんど誰にも通じず、ハイボールの杯ばかりが進んだ。
あれから何十年経ったのか、僕は千駄ヶ谷でパリを見つけた。

もとはラーメン屋だったという建物の外はビニールシート。
ハラミのステーキには揚げ立てのフレンチフライが山盛り!
もう、これは思い切りパリだ! フランスだ! 言うことなし!
だって、名前をよくよく考えてみて、フレンチフライだよ!
何を頼んでもとんでもないポーション、それだってフレンチ!

とにかく、このパイ包みを見て欲しい。パイ皮のばして、
鶏と豚の、そのまんま食べてもおいしい煮込みをのっけて、
その上にちっちゃな手帳くらいのフォアグラをどかーん。
で、パイを閉じたら、オーブンでこんがりと焼き目をつける。
そして、イチジクのワイン煮と生のメロンを添える。

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うーっ、興奮が覚めやらぬ内に、次はフォアグラの本体だ。
フライパンでカリカリに皮目から焼いて、肉はジュワーっ。
で、ていねいに、鴨・梨、鴨・梨、鴨・梨と並べて行く。
これがまずかったら、世の中にうまいもんなんてあるのか?
いかん、いかん、驚くべきリーズナブルなワインと料理に、
そろそろ正体をなくしつつある気配、ウーララ! である。

『なりた』さん、カプチーノください、これまた200円なのだった。


モツ好きだからフォアグラもアリなんですね。それにしても浅草でパリらしさを主張するのは勇気がいることではないでしょうか。(T.T.)


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