号外その3/山原真っ只中『森岡さんち』の「ハーブティー」
ちょっと間隔を置いて届いたアテ通信。
どうも森さんは沖縄の大自然の中にいて、
深く静かに思いをめぐらせているみたいです。
まず、山原とはヤンバルと読む、沖縄のずっと上の方。
ヤンバルクイナや、ヤンバルテナガコガネと続けてみると、
なんとなく、あーっと想像できるかもしれない。無理か?
あたりはまるでジェラシックパーク、圧倒的な自然である。
このあたり、正確に言うと東村、本当になんにもない。
最近ではゴルフプロ女子を輩出、彼女たったひとりの税収が、
なんと東村全体の税収より多いという、そんな場所だ。
そして、『森岡さんち』はお店なんかではない。
『情熱大陸』に取り上げられたりしたので、
もしかしたら今日本一有名な主婦が森岡尚子さん。
大学の写真科を中退し、ロンドンを経て、アフリカへ。
帰国後、福岡正信さんに師事して、自然農法を学び、
石垣島から、本当の東村に辿り着いた。現在は三人家族。
味噌や醤油などの調味料以外は、完全な自給自足。
毎日の献立は畑に出たら、自然が、旬が、決めてくれる。
冷蔵庫なんかない! 保存したものは、もう旬ではないから。
訪ねて行った僕に、庭先のハーブを摘んでティータイム。
たった今まで生きていたハーブの清冽な香りの中、
お茶受けは、もちろん森岡さんお手製のものが並ぶ。
波照間の黒砂糖で煮たそれは、みな同じに見えるけど、
ひとつはゴーヤの半端な部分、ひとつは蜜柑の皮。
どちらも自然な甘みの中に、それぞれの爽やかな苦み。
ここの家族の一ヶ月の生活費の額をそっと聞いてみる。
『東京カレンダー』あたりに載っている寿司屋、
その一晩分くらいの金額……。心がハーブに洗われてゆく。
本当は何が贅沢なのか、幸福って一体なんだろう?
渋谷生まれ、渋谷育ちの夫婦が辿り着いた場所で、
虫や鳥、水のせせらぎ、木と木が触れ合う音、風、
五体を包み込む自然の交響楽の中で考え続ける。
ここのお縁でいただく泡盛ほど、うまい酒はない。
僕は毎晩、都会の巷で何を彷徨い続けているのか……。
ぼーっとする僕を、一人娘、和鼓ちゃんが覗き込む。
ハーブティですか? いやされましたか? 少女の瞳に何が映りましたか? それでもやっぱりまた、飲みますか? (T.T.)

それぞれの「引き出し」を
つくっているのはこんなひとたちです。