その44/ソイ・カウボーイあたり、『ラブシーン』の「生牡蠣」

久々に届いたアテは、
予想外がならわしのここにふさわしく、
いきなりタイの妖しい小道から!


TTATE1126A.JPG


スクンビット通りは、スクンビット線プルンチット駅の東、
高速道路の高架下あたりからはじまって、東南方向へ延び、
遠くかなたの隣国、カンボジア国境まで続く長い国道だ。
通りから奥に枝分かれしたソイ(小道)は、番号で呼ばれ、
有名な通りはアソークやトンロー、エカマイ、オンヌット、
そして、カウボーイなどの愛称で呼ばれることが多い。
コヨーテ・アグリーな店が続くカウボーイはタイの不夜城だ。

夕方、盛装した華僑たちが回転テーブルを囲むレストランで、
タイで活躍している日本人俳優、王関正義くんと会う。
「あれ?どこかでお会いしたことありますよね」
それもそのはず、彼は僕の親友にして尊敬するバーテンダー、
マサルとワタル、そしてアッシュの後輩として霞町にいた。
すっかり気心が知れた僕らは解散後、さっそく紅灯の巷へ。

正義はネオンがちかちかする小道、魚屋の奥に消えた。
実は、その奥が隠れ家的なバー&レストランになっている。
カウンターの彼はゲイ、小指を立てながらオーダーを取る。
「さっきの店の何倍もおいしい生牡蠣を食べませんか?」
タイで生モノ? 同席するディレクターは戸惑っていたが、
正義のレクチャー通りにタイ風生牡蠣を体験すると、
あっという間に追加オーダーの嵐、これは癖になる食べ方だ。


TTATE1126B.JPG


牡蠣の皿と一緒に運ばれてくる5個の小皿の上にはスパイス。
まずニンニクと唐辛子を混ぜた辛味噌で接着面をつくったら、
生のニンニク、プリッキーファーの薄切りを載せる。
プリッキーヌより長いプリッキーファーはそんなに辛くない。
で、フライドオニオンも載っけて、ナンプラーとレモン汁。
後は一気に口に放り込む、旨い、旨過ぎる、なんだこりゃ!
日本に帰ってもぜひ、この方法で生牡蠣にトライしたい。

あたりは白人とタイ人のグループがひっそりと食事している。
カップルは少なく、3人連れが多い、老夫婦とタイの少女。
姉妹か、友だちに見えるタイの少女2人と白人の紳士風。
たぶんカウボーイ通りで指名して、今はアフターの食事中か。
無くしてしまった春に、涸れてしまった夫婦の熱に、
灼熱の炎を灯すための悲しいラブ・フォー・セール。
魚屋の店先の奥で繰り広げられる人間たちの悲しい性。
出るとき、店名を聞いたら、ゲイのお兄さんが口を尖らし、
タイ訛りで『ラブ・シーン』と呟きながら投げキッスした。

郷に入っては郷に従え。タイに入っては牡蠣を食え。アテ探しは勇気の旅、だなあ。(T.T.)


リンクフリー  ・ プライバシーポリシー ・ お問い合わせ ・ 運営会社