その46/コラート1号線あたり、『ロンブン・ガイヤーン』の「ガイヤーン」
シリーズ化しているタイ、
しかもまたまた『ロンブン・ガイヤーン』。
この店は“アテ”の宝庫みたいですよ。
タイでは、どの車にもたくさんの人が荷台にまで溢れて乗る。
ちっちゃなオートバイでさえ、複数の人が乗っていて驚かされる。
そして、とめどなくスピードを出す、国道でさえ高速のノリだ。
胸に0歳児を抱いたお母さんも、バイクに横乗りして笑っている。
ガンダムみたいな色彩のゴミ収集車もガンガン飛ばしている。
そんなみんなが吸い込まれて行くのが、ロンブン・ガイヤーン。
大きくて強そうなニワトリの像が店の目印になっている。
ひと通りソムタムを食べ、不思議な味のブドウジュースを飲み、
いよいよ店の名前にもなっているガイヤーンのお出ましだ。
そんなに辛くもなく、きりっとした味付けは日本人好み、
とにかく、素材のニワトリの身が締まっていて味が濃い。
日本でもシャモという名で闘鶏用として飼われている鳥、
食肉用としては高級食材であるシャモの語源はシャム。
つまりはタイからやって来たことが、その語源になっている。
そう言えば、国道から右折してドゥアンの工場へ向かう、
ゴムの木のプランテーション内に点在する農家にも、
必ず、大きなカゴが地面に逆さになって置いてあった。
あの中には、きっと元気いっぱいのシャモがいるのだろう。
ガイヤーンは、小さな骨は食べられそうなほどパリパリ、
タイ原産のシンハ・ビールにもぴったり合う最高のアテだ。
口のまわりを汚しながら無邪気にトリをむさぼっていると…。
今度は、豚くんの出番とあいなった、ムートード、唐揚げだ。
唐揚げといっても、生をそのまま揚げたものではなさそう。
唇に付いた脂を指で拭いながら、ドゥアンが何か言っている。
片言の英語で、どうも作り方とレシピを説明しているらしい。
さっぱり分からないが、匂いがいちばん強いのは五香粉だ。
それを一度、干し肉状にしてから、揚げて食べるらしい。
ちょうど沖縄のスーチカ(塩豚)に似ている感じだろうか。
九州生まれの僕には、やはり熱い南国の空気が心地いい。
思考を麻痺させてしまう、うだるような暑さの中で、
次第に人間本来の欲求だけがむくむくと鎌首をもたげる。
そんな濃密な空気と、ボーッとした亜熱帯の時間割。
指先に付いて離れない、トリとブタの脂、亜熱帯の体臭。
少しずつ、少しずつ、都会の垢が僕から流れ落ちて行く。
しゃっきり伸びた褐色の脚の間からタイが手招きしている。
褐色の脚……。だからとにかくドゥアンちゃんの写真が見たい……。(T.T.)

それぞれの「引き出し」を
つくっているのはこんなひとたちです。