その92/ムサコ・スナック街あたり、『豚星』の「焼きとん」

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子供の頃から、権力や名声がいけ好かなかった。
江戸時代から続く老舗だとかには縁がないし、
闇市以来の雑多な路地の中で迷っている方がいい。
ところが、権威とは対局にあるはずの料理、
安くて美味しいもつ焼き屋の有名どころは、
意外にも名店と老舗が目白押しの世界だ。
店舗が汚くても、親父の愛想が今ひとつでも、
歴史の重みの前で、客は従順になってしまう。

ホッピーや焼酎ハイボール片手に苦虫顔じゃ、
せっかくの新鮮な豚の内臓に失礼というものだ。
そんなモツ焼き界に強烈なアッパーを放つのが、
武蔵小山駅前の迷宮の中に忽然と輝くオアシス、
清潔感と好感度を武器にしたイケメンの革命児、
黒田くん率いる『豚星』の若き焼きメンたちだ。

熊本のミッションスクールの同級生と後輩、
有名ホルモン屋で修行した黒田くんの元に、
ボクサーから転向した現役ラッパーの京平くん、
最近は後輩で役者の泰二郎くんも加わった。
ガスではなく、炭火で丁寧に焼かれた内臓類、
レバー叩きや、小袋、ハツ、タンなどの刺し系。
3種のチーズを使ったマカロニサラダなどの、
繊細な味付けが施されたサイドメニューの数々。

大葉と鷹の爪が入った金魚からトマト割、
蜂蜜入りのバーモントサワー、手軽なワイン...。
ドリンクの選択肢が多いのも客に優しい。
てきぱきと働く3人の九州男児の被りつきには、
もつ焼き屋らしからぬ綺麗どころが目立つ。
だから、当然の如く地元男子たちも大集結。
『豚星』はいつかムサコの名物店になった。

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お店が休みの日には都内の名店を食べ歩く。
そして、そのエッセンスを咀嚼しながら、
『豚星』ならではの逸品として昇華させる。
石頭の年寄りたちには真似のできない、
イノセントな謙虚さで増えて行くメニュー。
〆のハムサンドや、透き通った煮込み、
味噌ダレのカシラやアブラ、生姜巻きなど、
今では立派なオリジナルメニューになった。

進化を続ける店をアテに今夜も始めるか...。


それぞれの「引き出し」を
つくっているのはこんなひとたちです。
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