ブランドの言葉たち #2

『ブランドビジネスにおける創造性は マーケティングに優先する』 
by ベルナール・アルノー

前回のコラムで「ブランドとは儲るもの」と看破したアルノーを紹介しました。一方で、マーケットを追いかけるような儲け主義ばかりでは「ブランド」は朽ちていく、とも語っています。既存の概念を時代にあった視点で新鮮に切り取っていく。ここら辺のバランス感覚がアルノーを秀でたブランド経営者たらしめているゆえんです。

よく言われることですが、多くの生活者にとって、未だ見ぬものの価値を判断することはとても難しいことです。そうですよね。それを「消費者調査」という名のもとに、データを収集し、新しい価値の誕生の芽を摘んでしまうことがままあります。残念ながら。リスクを最小限に、というビジネスとしての判断ももちろん大切ですが、マーケティングの進化と多くの人に憧れを持って迎えられるブランドの登場の頻度が反比例になっている気がするのはボクだけでしょうか。

もちろんアルノーは、マーケティングが無力だと言っているのではありません。ボクだって、そんなことは思っていません。
企業の成功は、非合理性と合理性の両方をうまく働かせ、この非合理性を経済的効果に変える能力にかかっています。この水と火の二律背反から、心を奪われるような変化が生まれるのです。
まあ、バランス、ということですよね。でも、これがまた、難しいのです。

そんなアルノーですが、「こころざしのある者にしか逆風は吹かない」など、そのビジネスパーソン人生から生まれた彼なりの哲学、というか生きるための"発見"とも言える言葉も多く発しています。多分、いやな目にもたくさんあったんでしょうね。ふむ。そう考えると、急にこの世界の大富豪も身近に思えたりします。そんな彼にとっては「ブランド」にしても「勝利する」ための一つの現象に過ぎないのかもしれません。

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ちなみに、ルイヴィトンのデザイナーであったマーク・ジェイコブスを追ったドキュメンタリーフィルムに、アルノーとジェイコブスの面白い会話があります。ショーの成功を祝いにバックステージを訪れたアルノーに、ジェイコブスが「今度は靴とカバンも忘れずに沢山作ったよ! 見てくれた!!??」なんて、ホントかよおお、とひっくり返りたくなるようなことを懸命に訴えるんです。まるで先生にしかられた小学生のように。苦笑いするアルノーもチャーミング。
ふっはっは。こんなトップオブトップでしのぎを削っている人達も意外と人間らしいな、と微笑ましいシーンです。
機会があれば、ぜひ観てみてください。

ちなみに今回の写真は、北アイルランドのジャイアント・コーズウェイです。巨人が荒れる海を渡った跡、と言われています。
さて、次回は、ブランドといえばこの人!? ブランドをつくり、自らもブランドとなった先駆者の言葉を紹介しますね。



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