「ジャパン・カスタム」イッキ弾き! #2:D-18 CUSTOM
デデュー6人みたいな、キンメダイの煮付けみたいな?
TT 高値になるほど優れている、というのが世の常だったりするじゃないですか。
FT まぁ、一般的にはね。
TT ギターもそうだと思ってたわけです。高価なモデルほどいい音がするんだと。
FT はいはい。
TT そんな考えが浅はかだったことを教えてくれたのが、このD-18なんですよ。
FT ほうほう。
TT マーティンには、昔からボディ材にマホガニーを用いた“18”というモデルがあって、スタンダードシリーズのなかではもっとも安い位置づけなんですよね。だから僕は、どうせマーティンを買うなら18じゃなく、28とか35だと思ってたわけ。価格から、18は入門編だなあと。
スタンダードの18はシャキシャキした響き。さて、このカスタムは?
FT そういう人、少なくないなあ。ふんふん♪♪
TT 感じワルッ。そう、違いました。実際に弾いてみると、マホガニーにはマホガニーの音があるんだと知ったんです。乾いてシャキシャキしていて、決してプアじゃなくチープな響き。ストロークでガシガシ弾くとロックな感じになるというか、酒場の片隅に置いてあるとカッコいいみたいな。
FT 安いマーティンというのはないんです。材料や工程によって、適価がついてるわけなんです、ええ。
TT がしかし、これはちっともチープじゃないね。70万円越えは、さすがカスタム!
FT なぜこの値段になったのかは、今回も裏板に秘密があります。ほら、波波! こ~んなことになってるでしょ?
TT 「こ~んなこと」状態を示したのがいちばん上の写真です。いつもそんな激しいボディランゲージで接客してるの?
FT いやいや。この波波の裏板はキルテッド・マホガニーと呼びます。高価な材なんですよ。通常のマホガニーよりは硬めのサウンドかな。軽く聞こえるかもしれないけど、音に芯があるでしょ。
TT なるほどね。シャキよりカキンに近いかも。でも、マホガニーらしい抜けの良さは生きてるなあ。それよりなにより、ネックが太い!
FT ヴィンテージシリーズでも採用した、1 3/4インチ幅。ネックシェイプをV字断面にしてあるから押さえにくくはないと思うんですけどね。
ペグはウェバリー。ブリッジはロングサドル。いずれもオールド・テイストをかもし出す仕様。
TT 僕が持ってるOOO-28ECのネックも同じ幅だけど、最初は戸惑ったなあ。それまでの感覚でセーハすると、1弦が押さえ切れなかった。慣れの問題だったけどね。
FT ネックの幅が広いということは、6弦それぞれの間隔も広く、各弦の響きがより明瞭になるんです。6人の選手の個性を生かしたシンクロナイズドスイミング、みたいな?
TT ……。でも、アルペジオやソロを弾くには粒が際立って、気持ちのいい響きなんですよね。という観点に立てば、スタンダードの18とはまた違った、いかにもカスタムらしい独特のキャラクターを持ってるモデルです。シンクロ・ソロの女王、デデューが6人いる、みたいなギター?
FT 水つながりで言えば、スタンダードの18が脂ののったホッケなら、このカスタムはキンメダイですね。煮付け最高、みたいな?
TT う~む、わかりにくいたとえの連発だなあ。


