「ジャパン・カスタム」イッキ弾き! #1:D-35 CUSTOM

TTMT2A.JPG
Photo:Horasawa Sachiko


ローズウッド家の美しき怨念?


FT どうもコンニチワ! 『マーティン・クラブ・ジャパン』の福岡 司です。今後ともよろしくお願いします。って人がご挨拶してるのに、いきなりギターをひっくり返さないでくださいよ。
TT やっぱりマーティンのD-35と言えば裏板だよなあ、と思ってね。ほら、見てください。このギター、裏が3枚接ぎなんですよ。
FT ハギって、穴の開いたセーターみたいでカッコ悪いじゃないですか。でも、いきなりそういう込み入った話題でいいんですか?
TT ついてきてくれる人はついてきてくれます。


TTMT2E.JPG
2種類の材を組み合わせた裏板。ギターって、見事なまでに木の質で音が変わります。


FT ちょっと心配なので補足しときますと、マーティンギターの裏板は、伝統的に2ピース構造、つまり左右2分割だった。それがなぜD-35に限って3ピースなのかというと、高級ギターの材料として有名なハカランダ、別名ブラジリアン・ローズウッドが60年代になって手に入りにくくなったんですね。
TT 原産国のブラジルが輸出制限をはじめたんですよね。そしてブラジリアン・ローズウッドは幻の材と呼ばれるようになった。
FT そこでマーティンは、今後さらに入手困難になることを見越して、中央部分だけブラジリアン・ローズウッドを用いた3ピース構造を考え出したんです。それが、1965年に登場したD-35。
TT お見事な解説!
FT 時代の対応に迫られたモデルではあったけど、高音の響きが独特で、従来とは一味違う新たなマーティン・サウンドになったわけですよ。だからこそいまでもスタンダードモデルとして生産されているんです。


TTMT2D.JPG
60年代中期イメージをかもし出す、グローバーのペグ。


TT で、このカスタムはどこがどうカスタムなんだろう?
FT まさにTTさんが見ている裏板中央です。ジャパン・カスタムとして、ブラジリアン・ローズウッドにもっとも近いと言われるマダガスガル・ローズウッドをオーダーしました。左右は、インディアン・ローズウッドです。
TT なんだかローズウッド家の怨念を感じるなあ。
FT 既存のD-35は、サウンド的に甘い雰囲気なんですよ。丸みを帯びたやわらかい響きというか。
TT シャキっとしたイメージじゃないよね。
FT そうそう。でも、裏板中央にいい材が入ったことで、音に芯が生まれた。これはぜひ聞きくらべてほしいですね。


TTMT2B.JPG
60~70年代に多かった、べべルド仕上げ(面取り加工)のピックガード。


TT フィンガリングよりは優しいストローク向き、みたいな気がする。
FT 意外に鋭いじゃないですか。既存のD-35が「うん、うん」とうなずくような響きなら、このカスタムは音が広がりながら「ぶうん」って出てくるイメージ。セブンスコードの大人っぽいストロークには最適ですね。
TT 個人的にはこの裏板の、木目が明らかに異なる美しさが好き。工芸品だもん。君の背中を眺めながら弾きたい、という気分です。
FT そういう興味の示し方も、アリでしょうねぇ。


TTMT2G.JPG
D-35 CUSTOM ¥504,000


T・T ディレクトリー   リンクフリー   プライバシーポリシー      運営会社