最終戦

ダーリンが世界チャンピオンになれる可能性を残しつつ、
今年最後のトライアル世界選手権が9月24日、ベルギーで開催。
いつもそばにいるナオちゃんの、リアルなレースリポートを。

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「だめだったよ……」。
レース終了後、これがダーリンの最初の一言でした。

今シーズンを締めくくる最終戦はベルギーにあるスパ・フランコルシャンサーキットで行われました。ここは毎年F1も開催されている有名なサーキットです。
木曜日に飛行機で移動し、金曜日からいつものように練習。そして土曜日にはセクションの下見と、いつもと変わらないスケジュール。

でもいつもと違うのは、今回のレースでシリーズチャンピオンが決定してしまうということ。泣いても笑ってもこれが最後。
そして、チャンピオンが獲れる可能性があるのは、ランキング1位のアダム・ラガというスペインのライダーと、ランキング2位のダーリンの2人だけなのです。

今シーズンは、これまでのダーリンのライダー人生においていちばん過酷な年でした。
今年の序盤、ダーリンは思いがけない災難に見舞われました。シーズン開幕の2週間前に起きた左手人差し指の骨折。そしてその後の体調不良。一時はレースに出場することさえ危ぶまれました。
パンパンに腫れている人差し指。身体から吹き出る汗と消えない疲労。精神的にも限界を感じているダーリンを見ているとこっちが苦しくて、何度もレースの出場を止めようと思いました。

でも、たとえお医者様が止めても言うことを聞くようなダーリンではないので、私はただただ見守ることしかできませんでした。

しかし、そんな状態ではレースを走りきるのが精一杯。成績は振るわず、一時期はランキング6位まで落ち、周囲からの「今年の藤波はダメだな」という視線をひしひしと感じていました。

日本の茂木で開催されたレースではみんなが励まし、気遣ってくれることに感謝しながらも、その反面で自分の不甲斐なさに本当に情けない思いでいっぱいで、押し潰されそうになっていました。

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そんな中でダーリンは、この苦境をチャンスに変えるきっかけを見付けたのです。
「ここまできたらもうチャンピオンのことは考えずに、周りも何も気にせずに目の前にあるセクションをクリーンすることだけ考えればいいじゃないか」
それは、監督やチームのみんなとじっくり話し合って決めたことでした。チャンピオン獲得というプレッシャーを解き放つ……。

そこにたどり着いてからのダーリンは、私の目から見ても何かが変わったのが良く分かりました。なんというか、余計なことを考えなくなり、堂々と走っている感じになったのです。

そこからのダーリンは、誰もが予想しなかった快進撃を成し遂げました!
3連勝を果たし、グングンと順位を上げて、2位というポジションまで追いついたのです。

そして迎えた最終戦。
レース当日の朝。ダーリンはいつものように普通にしている。一見すると緊張などうかがえないけど、それでも多かれ少なかれプレッシャーは舞い戻ってきていると思う。

そんなときの私の胸中は複雑です。何か声をかけてあげたいけど、余計なことは言いたくない。
結果、いつも通りに送り出すことになるのです。役立たずだなぁ……。

「とにかく目の前に置かれているセクションだけを見て走る」とダーリンは自分に言い聞かせて笑顔でモーターホームを出て行きました。

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序盤、好調な出だしでトップに。しかし、途中の減点5点で少し焦りが出て、そこからライバルの成績が気になりだしてしまったようです。
そのライバルのラガはダーリンの前を好調にクリーンで走っていく。

「途中から何度も持ち直そうと頑張ったけど、だめだった」
後からダーリンはそう話していました。

結果は4位。ラガに優勝を許してしまい、シリーズランキングは1位ラガ、2位ダーリン。

そうして今シーズンは終わりました。

モーターホームに戻ったダーリンは「また2位だ・・・」と少し考え込んでいましたが、シャワーを浴びてきたら、「よし、来年だ!」と、いつものダーリンに戻っていました。
私もそうなのですが、ダーリンはとっても立ち直りが早い。というか落ち込んでいても成績が変わるわけではないし、これからどうするかを考えるしかないですからね!

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でも今年は本当に良く頑張った。
立ち止まったこともあったけど、立ち止まったからこそ自分の足元を見直せた。そんなシーズンだったように思います。

応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
また来年も頑張ります!!


今日のナオちゃんの文章に向けて、僕がコメントすることなど何もありません。でも、ナオちゃんもよく頑張ったよね。(T.T.)


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