ホノルル、そのすべてのはじまり/その2

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写真提供/ランニングスタイル


ただ走ることが好きな人って
この世の中に案外多いんだ。
by T.T.


市民ランナー、という呼び方があるそうだ。それはおそらく、本気で記録更新を目指すのではなく、あるいはアマチュアより気楽にランニングと接したい、たとえて言うなら「草ランニング愛好家」ということになるんだろう。
その市民ランナーにとって最大の憧れは、ホノルルマラソンらしい。

1973年に、ハワイ州に住む162人のジョギング好きによってはじまったこの大会。昨年で33回目を迎えた、世界的に有名なフルマラソンイベント。

なにしろロケーションがいい。日本人にも馴染み深いリゾートを走るというのも気が利いている(だから最近では約2万人の参加者の半数以上が日本人だ)。しかもこの手の大きな大会にありがちな時間制限がない。歩いたって這いつくばったって、なんとか完走すればフィニッシャーだけの限定Tシャツが贈呈される。

というような情報くらいは僕だって知っていた。実は、今年の初めに思いつきで「ランニング娘!」と口にしたときも、やっぱりゴールはホノルルだよな、と密かに考えていた。
しかし、それがいざ実現するとなると、ビッグマウスの心臓はリアルなネズミのそれに戻るのだ。

TTRUN23.jpg『ランニングスタイル』第2号。2005年10月28日発売

「だってトナオさんがやりたいって言ったんじゃないですか」
ジャックという男は、常ににべもない発言をする。そりゃ確かに言ったが、自分だってろくに聞いてないふうだったじゃないか。
「だから、企画の主旨は修正してあります」

ジャックが作成した企画書のタイトルは次のとおり。
『RS(ランニングスタイル)ホノルル部結成 部員募集!』
ホノルルマラソンに出場したい読者を募り、トレーニングから大会の様子までを誌面でリポートする――。

娘! は、どうなった?
「そんなこと企画書に書けるわけないでしょ」
例によってジャックは、日中95%の時間をおちゃらけていながら、残りの5%で冷徹な態度を見せる。
「とにかくあんたはホノルル部の広報部長という肩書きで原稿を書きつつ、ホノルルまでしっかり練習してください!」

そうして最初に連れてこられたのが、6月10日に行われた、ランニングスタイル誌主催の「ランニング教室」だった。場所は、代々木公園内にある、織田フィールドと呼ばれる“専用”の陸上競技場。1周400メートルのトラックは、テレビで見たのと同じ赤い地面で、その場に足を置いてみるとしなやかな弾力を感じた。ランニング歴0日でいきなり本物のトラックを走っていいなんて、草野球選手がヤンキースタジアムでキャッチボールを許されるようなものじゃないのか? 言い過ぎた。東京ドームが妥当かな。

TTRUN22.JPG初参加の「教室」

参加費無料で行われるこの教室には、ざっと見渡して50名以上のランナーが集まっていた。後に回を重ねるたび参加者が増えてゆくが、ランニング事情を知らない僕にすれば、土曜の昼下がりにわざわざここまで走りに来る人がこんなにいるなんて、まさしくカルチャーショックだった。

ただ走ることが好きな人って、世の中には案外多いんだ。それが、織田フィールドで感じた率直な印象だった。

TTRUN14.JPG(え~と、大会まであと54日)


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