“ホノルル”トレーニング実行中/合宿編(2)
PC&プロジェクター持参で講義する金沢よしえ先生。
“フル”6回経験者!
塩をなめて走れ!
合宿だからと言って、追い込みをかけるように走りまくったわけじゃない。そのあたりは、内山雅博コーチの指導方針と、「ランニングスタイル」誌のプログラミングがサエていたと言うべきだ。
2日目の午前中、朝一のウォームアップ終了後に、「フルマラソンのための栄養学」という座学が行なわれた。講師は、金沢よしえさん。先生に対してこんなことを言うのは失礼だけど、かなりナイスな方なのである。
なんと、フルマラソン経験、実に6回。講義をしてくれた日のちょうど1年前にはニューヨークシティマラソンに参加して、「私なんか速くないんですよ、4時間半でしか走れないから」などと笑顔で謙遜するのである。4時間半は、市民ランナーにとって決して遅くないと思うんだけどな。
そんなわけでフルマラソン経験を採り入れた栄養学講座は、非常に実践的で強い説得力があった。講義の軸は、普段からどんな食事をすれば有意義なランニングができるか。炭水化物やたんぱく質や脂質をバランスよく摂ることが大事だと説明される。
そうした基礎知識もさることながら、僕らが関心を持ったのは、フルマラソン当日の具体的な栄養補給だった。
かいつまんで話すと、まずは水分補給。スタート前には250~500mℓをちびちびと飲むこと。一気に飲み干すと、汗より尿になってしまい、排便コントロールが難しくなるらしい。
ランニング中は、1時間あたり500~1000mℓの水分を消失するので、数キロ毎に設置されているエードステーションでは必ず水分補給をするように勧められる。
さらに僕を驚かせたのは、塩の補給だ。汗を1ℓかくと、約3.5gの塩分を喪失するという。仮に“フル”を5時間で走れたとして、1000mℓ/1時間の水分を汗で失うと、同時に17.5gもの塩分を失うことになるわけだ。
そこで金沢先生は、ランニングパンツの内ポケットに塩を仕込んだりして、5キロ地点あたりからなめるそうだ。水分や塩分の補給は、すべて体調変化を起こす前に行なうこと。それが完走の秘訣なのだという。
塩をなめながら走る? フルマラソンってのはそこまでしなきゃならんのか?
それが僕の率直な驚きだった。やはり42.195キロを走るのは肉体にとって過酷で、化学的な知識なくして成し得ない行為なんだと、いまさらながら思い知った。やれやれ。
講義終了後、昼食をはさんで午後のトレーニング。気がつくと、金沢先生もトラックを走っていた。走るつもりなどなかったのだが、僕らを見ていたらうずうずしたらしく、レンタルウェアを借りてきたそうだ。
最後は慌てて着替えて帰りのバスに飛び乗っておられたけど、そこまでさせるランニングの魅力ってなんだろう。“フル”を走り切ったとき、それが理解できるんだろうか?
