ホノルルマラソン リアルリポート(2)

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前世の因縁に突き動かされてさまようゾンビの群れ、
みたいでしょ?


スタートラインまで10分


マラソンのスタートは午前5時。常夏の楽園と言えども北半球に位置しているから、この時期はまだ完全に日の出前。

想像するに、ホノルルマラソンは規定時間がない大会なので、一般参加者のなかには10時間を越えてゴールする選手も少なくない。となると、タイムの遅い人ほど日の高い時間を走らねばならず、安全性の面からもスタート時間を繰り上げる必要があるのだろう。

しかし、午前5時という開始時間は尋常じゃない。体をちゃんと目覚めさせるためには3時間くらい前に起床せねばならず、時差や緊張などで大方は寝不足で臨むことになってしまうからだ。

というルールに初参加者が文句をつけてもはじまらないので、僕らは午前3時半にカラカウア大通りに面したホテルを出発し、スタート地点のアラモアナ公園へ向った。歩くこと30分。これは程よいアップにもなった。

それにしても、アラモアナに近づくたび数を増してゆく人々がオレンジ色の街灯に照らし出されて行進する光景は、かなり異様だった。しかもそのほとんどが日本人なのだ。ぼやついた意識のせいか、それがいったいどういう意味合いを持つ状況なのか、正確に理解するのはなかなか困難な作業だった。


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最初にスタートするのはクルマイスの選手。大拍手
を背に前へ!


今回のホノルルマラソンには約3万人が参加すると聞いていたが、スタート地点に到着してその数の実質をようやくつかめた気がした。

人、人、人……。この世界にはランナーしか存在しないんじゃないかと、本気でそう思えるほどの群衆。これだけの人間が、時間差こそあれ同じ場所に向って走るなんて、ほとんどクーデターに等しい。もしこれだけの人数がマラソン以外の目的を持って行動したら、目に付く範囲の警官では完全に阻止不可能。戒厳令を発令する間もなく、一瞬にしてホノルルは陥落……。

などというどうでもいい妄想を膨らますくらいの余裕は、この時点では十二分にあった。

スタート地点には、ゴール到着予想時間を示した旗が立っていて、各自がそれを目安にスタート位置を決める。僕らは、確か6時間から5時間の間に立ったんじゃなかっただろうか。ちなみにスタートは午前5時に切られるものの、個々の計測はスタートラインを通過したところからはじまるので、記録的にはどこから走りはじめても支障はない。

だが、僕らが打ち上げ花火を合図に動き出してからスタートラインを切るまでには、なんと10分もかかった。具が詰まりすぎたトコロテンを押し出すみたいに、人の束がゆっくりと移動してゆく。それもまた、ホノルルマラソンならではの光景なのだろう。

そうして3万人規模の市内占拠がいよいよはじまった。


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走っているように見える群集ですが、この時点では
全員歩いてます。


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