ホノルルマラソン リアルリポート(3)
走り出すまでの日本人はうるさい
何度も書いているけど、ホノルルマラソンのスタートは午前5時。常夏の楽園と言えども北半球に位置しているので、その時間はまだ完全に夜だ。
そういえば、僕はここまでのトレーニングで暗い時間帯に走ったことがほとんどなかった。数少ないナイトラン経験となったのは、10月に参加した国立競技場でのランニングスクールのみ。照明に照らし出されたトラックは、都会の真ん中とは思えない静けさに包まれていたっけ。
しかし、さすがに約3万人もの人間が走ると、少なくとも足がばたつく音だけで相当なサウンドになる。沿道の住人で熱にうなされる人がいたとしたら、間違いなく2度は体温が上がっただろう。
マラソン中に気づいたことだけど、走る前の日本人はうるさく、走っている最中は外人がうるさい。前日から公園や一般道で盛り上がっていた日本人一行は、そのテンションをスタート前も維持し、グループごとに拡声器を使ったりしてストレッチに忙しかった。
それはそれとして、彼らにかなり違和感を覚えたのは、スタート直前に流れたアメリカ国歌さえ無視していたこと。毎年そんな調子なんだろうか。
愛国心について語るつもりはないが、それでもアメリカの人々は自国の国歌をいたく尊重している。マラソンに限らずどんなイベントでも、「星条旗よ永遠なれ」が流れれば、誰もが立ち止まり、帽子を脱ぎ、なかには胸に手を当てる人もいる。
日本では「君が代」に関していろんな考え方があるけれど、ここはアメリカだ。現在のホノルルマラソンが、あるいはハワイの観光ビジネスそのものが日本人によって支えられていても、それはそれとして、その国の流儀を尊重しない理由はどこにもない。
正直なところ、そういう光景を目の当たりにすると、僕は日本人に失望する。自分が日本人なだけに、その降下速度はバンジー以上に速い。
そうして走り出した日本人がいきなり寡黙になるのも、ある種の国民性だと思う。
対して外人、というかおおむねアメリカ国民のみなさんは、走り出した途端、ワオだのヒューだのと何かに付け声を出す。群衆のなかで仲間を見つけようものなら、100年ぶりに再会したようなあいさつを交わす。
イベントを楽しんでいるんだろうし、何よりタフだなと思った。
スタートのアラモアナ公園から時計回りでダウンタウンを周回。カラカウア大通りを走り、何時間後に戻ってくるカピオラニ公園へ。ここまで約9キロ。僕のペースは1キロあたり8分というスローペース。1時間あまりが経過して、ようやく空が白んできた。
