ホノルルマラソン リアルリポート(7)
余裕でハーフ!
カハラの街並みを通り過ぎると、次にやってくるのがカラニアナオレ・ハイウェイ。高速道路と言っても日本のようにがめつく料金を取ったりしないけど、自動車専用道路であることに変わりはなく、その片側(海沿いの車線)を完全に封鎖してランナーに明け渡すわけだから、おのずとホノルルマラソンの規模を知ることができるシークエンスだ。
このマラソン大会で、僕にとって最大の難関となったのがここである。往路は若干下り気味の、ほぼフラットな片道7キロ。ただランニングするだけなら、あるいはかなり楽なシチュエーションかもしれない。
だが、景色に変化がなく、道は延々と真っ直ぐに伸び、しかも太陽が真っ直ぐ差し込む時刻にさしかかるハイウェイは、本当にきつい。その厳しさがより強くのしかかるのは帰路なんだが、それは後日話そう。思い出すのもイヤなんだけど……。
集団に飲み込まれるようにして高速道路のランプを駆け上る。予想以上のスローペースのおかげか、体調に問題なし。このまま最後まで大したドラマもなく走破できちゃうのかも? とか思いはじめていた。
高速道路の往路の途中で、全行程の半分、つまりハーフマラソンの距離を迎える。走り出す前は、ひとまずそこまでたどり着けば、あとはなんとかなるんじゃないかと、特に根拠もなくそう考えていた。
実際にハーフを通過してみても、まだ十分に余裕があった。こんなものなのか、というのが率直な感想だ。
周囲を見渡すと、歩きはじめる人も現れてきて、こんなところでそれじゃ最後まで持たないかもね、みたいな、ある種の優越感さえ抱いた。
そういうおごりは、ご指摘を受けるまでもなく醜悪な感情であり、結果的に自分をダメにする。いまなら僕もそう言える。
だが、邪悪な精神は、ハーフを過ぎてほっと一息ついた心に音もなく入り込み、侵食をはじめるのだ。
それに気づける種類の余裕を持ち得なかった僕は、やはり淡々と7キロのハイウェイを走り切り、大きく右に回るルートを取ったハワイカイに進む。街の入り口にあった時計は、スタートから3時間半が過ぎたことを表示していた。残り約17キロ。このままのペースなら2時間後にはゴールできるだろうと、そういう計算ができる自分の冷静さにホッとしたりもした。
が、ハワイカイの街に入ってすぐ、ヒザの脇が「しん」となった。左右どちらのヒザがそうなったのか、それすらわからないほどの微弱な信号だった。だから無視した。
というか、内心ではそのまま気づかない振りが続けられることを祈っていたのかもしれない。
