リトル・ブリテン (0023本目)
ブラックジョークの肩透かし
実をいうと今回は試写会ではなく、『リトル・ブリテン』というコメディーのDVD発売記念パーティーでのこと。
WOWOWで放映されているのですでにご存知のむきも多いかと思うけれど、『リトル・ブリテン』はBBC制作の番組で、そのタイトルどおり「イギリスの縮図」というアングルをとりながら、ときに過激、ときにブラック、ときにやりすぎ、はたまたときに不可解なギャグで人気を博しているコメディーだ。
会場となったのは、青山にあるLe Baron。なんでもパリに本拠を置く高級ナイトクラブだそうだが、『リトル・ブリテン』だけあって、会場に足を踏み入れると聞こえてきたのは、「The Smiths」。そう、泣く子も黙るあのモリッシーがボーカルを務めたバンドだ。さらには「Orange Juice」(なつかしー!)や「Elvis Costello」などが続けてかかり、会場は英国一色。
しかしながら待てど暮らせど、『リトル・ブリテン』のメインたるマットとデイヴィッドが現れない。仕方ないのでギネスを2、3杯傾けていると、1時間半ほどしてようやく登場。満を持してステージに立った二人。『リトル・ブリテン』全開のギャグ連発に観客の期待は高鳴る。そして……。
「今日、英国大使館に行ってきました」
は?
「こんな心温まる待遇を受けるなんて、ホントうれしいです」
へ?
「ラジオ番組として始まったものが世界各地で人気を呼ぶなんてうれしく思います」
ん?
『リトル・ブリテン』のトーンを考えれば、カラダが軽い痛みにもだえるようなブラックジョークでくるのかと思っていた当方はすっかり肩透かしを食らった。いくらなんでも普通すぎないか? これだったら東国原知事の外国人記者クラブでの会見のほうがまだましだ。通訳などいなかったのでそれをおもんぱかったのか。さらには……。
「今度は『リトル・ジャパン』いきますっ!」
とはいうのはウソだけれど、この一連を見た知り合いの映画宣伝担当は「でも逆にいいじゃないですか。スター気取りじゃなくて。芸人魂っていうか、職人っぽいですよね」と言っていた。
そうかぁ? と一瞬思ったけれど、確かに一理あるかもしれない。というのも僕の以前の仕事で、ついこないだのアカデミー賞で主演男優賞にノミネートされていたライアン・ゴスリングくんをインタビューしたときのこと。
ライアンくんはアポの時間を知りつつも思いっきり遅刻し、さらにインタビューの最中はビールでほろ酔いなうえに、たばこ吸いまくり。その佇まいは見るからにロックスターだった。あきらかに背伸びしている感はあったものの、特に悪気はなくどちらかといえば茶目っ気とも取れたが、こちらは調子が狂ってしようがなかった。
なので、そういったタイプとくらべると、『リトル・ブリテン』の二人の「地に足着いてる感」は逆に新鮮で好感をもてるのかもしれない。
いや、でもやっぱり直に聞きたかった、本領発揮のブラックジョークを、と思ったのは僕だけだったのだろうか?
『リトル・ブリテン』ホームページ
http://www.comedique.com/littlebritain.html

それぞれの「引き出し」を
つくっているのはこんなひとたちです。