ミラーズ (0048本目)

クールは大変?
人間、クールを気取るのもなかなかの努力を伴うものだ。なぜならそこにはクールを気取るために死守しなければならない不文律が存在するからだ。他人は誰も気にしない/気付かないリスクがあるにもかかわらず、クールを気取ろうとする人間はその目に見えないルールに身を徹する。でも、クールであるための不文律って何?
「お笑い芸人のギャグで笑ってはいけない」
まずひとつにこれが挙げられるだろう。そう、笑ってはいけないのだ、なにがなんでも。それと関連ということでいえば、次もいえる。
「お笑い芸人のギャグをパクってはいけない」
これはいけない。飲み会で女の子にモテようとして安易に使おうとするオジサンを散見するが、これは絶対にいけない。さらには次もいえるのではないか。
「お笑い芸人が主演する映画に泣かされてはいけない」
そう、泣いてはいけないのだ。女の子に「あの人いつもクールでかっこいいわよねぇー」と思われたければ、万が一目頭が熱くなってこようとも、ぐっとこらえなければならない。
「泣き」つながりでいえば、これもまずいのではないか?
「スマップの曲で泣いてしまう」
いや、別にスマップが悪いといっているのではない。好き嫌いは別にしてキムタクは残念ながらかっこいい。
「できることなら、おれもキムタクに生まれたかった」
そう思わなくもないけど、想像してみてほしい。スマップの『世界に一つだけの花』を聞きながらテレビの前で泣いてしまう男。これはやっぱりクールの対極だ。
ほかにも不文律は多くあるだろうが、僕は新たにこれを付け加えたい。
「キーファー・サザーランドのホラー映画に恐怖してはいけない」
なんでそんなことを思ったかというと、ふとしたきっかけで、彼主演の『ミラーズ』の試写に行くことになったのだが、事前にIMDBなど映画情報サイトをチェックしてみると意外にも評価が高い。
「でもそれってなんかおかしくないか?」
なぜ違和感を感じたのかといえば、キーファー・サザーランドといえばいうまでもなく『24 – twenty four–』だ。シーズン1を早送りで観たあと、すべてを記憶の地平のむこう側に追いやってしまった僕としては、いまだにドラマが継続中で、しかも来年にはシーズン7が始まるという事実にも愕然としたけど、やはり同じ役の繰り返しなのにそれに満足していそうな俳優の存在意義自体に疑問が湧いてきたのだ。そしてそんな俳優が出てるホラーに背筋を凍らせるようでは、当然クールを気取れない。
「ふーん、世の中クールとは縁遠い人が多いのだな、俺は違うけどね」
そう高をくくって試写へと足を運んだのだが、映画を観てびっくり。
「おー、結構、怖いじゃん」
そう、つまるところすっかり恐怖してしまったのだ。特にエンディングは「へぇー、そうくる?」と主人公の救いのなさに感心してしまった。で、思った。
「クールを気取るのはやっぱり大変だ」
2008年12月26日(金)、有楽座ほか全国ロードショー
公式ウェブサイト:http://movies.foxjapan.com/mirrors/

それぞれの「引き出し」を
つくっているのはこんなひとたちです。