4階のネコ

今年の夏の夕暮れ。新宿の雑居ビル4階の事務所。
ふとドアを開けたら、やせっぽちでまだ子供のネコがいました。

その日は、ミもフタもない名前が付けられた
ゲリラ雷雨が新宿を襲い、地上の生き物はみな泡を食ったような
騒ぎで建物の中に非難。おそらくその灰色のネコも、
滝のような雨から逃げてきたんだろうけれど、
それにしてもわざわざ4階まで上ってきたのはなぜか、
誰にもわかりません。

ただ、とにかくドアを開けたら短い毛をすっかり濡らしたネコがいて、
黒い瞳でこちらを見上げました。
それ以来そのネコは事務所に居つき、
訪れる人だれかれ構わず近寄っては体をすりつけるのです……。

この話は、先週取材した人から聞きました。完全な実話です。
それにしてもなぜ4階まで来たんだろう?
途中の階に立ち寄ったけど誰もいなかったのか、
あるいは最初からそこに来ることになっていたのか。

でも少なからず、犬だったら4階まで来なかったと思うな。
そういう危うげな不思議さがネコにはありますね。
以前は、犬か猫かと聞かれたら迷わず犬だったけど、
最近はネコもいいなと思います。
見とれるんだよね、あの身勝手さに。
歳とともに、あれこれ好みは変わるのかもしれない。

さあ、11月もついに最終日。のん気なことは言ってられないかぁ?


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