Uluru 2
エアーズロックという呼び方は、いまはもう昔のものになっているそうです。この名称は、19世紀にオーストラリアへやってきた異国人の名前にちなんで付けられました。
しかし、6億年前からここにある赤い一枚岩は、この土地に古くから住む人々、アボリジニの聖地です。
そうした本来あるべき姿に戻す運動が起こり、いまではアボリジニの名前で呼ばれるようになりました。
それが、ウルル。
そう、聖なる土地。だから奇跡が起きても不思議じゃない。とは言え、大きな期待を寄せていたわけでもない。けれどそれはやって来た。
風、でした。いや、風のようなものでした。耳の奥でごうと鳴りはじめたそれは、近くで聞こえていた鳥のさえずりも、離れた場所にいた同行者のおしゃべりも押さえ込み、渦巻くような圧力とともに頭の芯まで響きました。
その瞬間の視覚的な記憶は何もありません。それ以前までは、およそ20メートルの距離の赤い岩を仰ぎ見ていました。音に圧倒されて目を閉じたのだろうか? でもとにかく、強風でした。強風のイメージというほうが正しいのかもしれない。
そしてそれは、やって来たときと同じように静かに去っていきました。時間にしたら、きっと3秒もないでしょう。誰かに話したら、ただの錯覚だと言われても仕方ない話です。けれどもそれは、その音は、その圧力は、いまも鮮明に心に残っています。
呼ばれていたのかはわからない。でもウルルは僕を迎えてくれたんだと、そんなふうに信じているのです。
