「疲れた」8分休符

「“疲れた”と“忙しい”は言わないんです」と、
タレントのベッキーちゃんがテレビで何度か話しているのを見かけて、
なんて立派な子なんだと思うわけです。
「“忙しい”って、心を亡くすって書くじゃないですか」とかね、
緑みたいに青い瞳の女の子が言うんですよ。

その一方で僕は、笑顔の彼女の陰に根を張る
ストイックさを想像するのです。
おそらくベッキーちゃんは、物事にはすべからく表と裏、光と影があって、
自分は裏や影を封じ込める立場なんだと悟っていると思うんですね。
いつも元気でいること。そのために表や光に向う言霊の力を借りている。
徹底的に。そこがストイック。

確かに、「疲れた」とか「忙しい」と口にしている人には
仕事を頼みたくないもんね。なぜかはよくわからないけど、
僕も常に忙しそうなヤツだと思われているみたいで、
そのせいで楽しい話が届かないこともあるんじゃないかと考えると、
かなり残念な気持ちになる。

それから、もはや自分より若い連中しかいなくなった仕事現場で
裏や影の発言をすると、「あの人、いくつだっけ?」
などと区分けされそうで、そこはコワい。

でも僕は、時にはあえて「疲れた」と口にしてみます。
場所や人を選ぶけれどもさ、そんなに悪くないですよ。
楽譜なら休符ね。長さで言えば8分休符くらいの、
音を鳴らさないことで生まれるリズムになる、かなあ。

でもベッキーちゃんは
「疲れた、とこぼしそうになったら、よく働いた! と言う」そうだから、
彼女は9連符連発で弾きまくれるんだろうねぇ。
本当にほとほと感心します。僕はオトナのリズムでいきます。


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