「少なくとも最後まで歩かなかった」

この時期になると、つい読んでしまう本があります。
春樹さんはメモワールと記していますが、文字通り走ることについて語られた
エッセイのような本です。帯の一文に、掌底で胸を突かれたような衝撃を受けました。

「少なくとも最後まで歩かなかった」

この本が発売された2007年10月は、僕にとって2度目のホノルルマラソンを
走る直前でした。初挑戦は前年の12月。ひとまず半年間、決して十分とは言えないけれど
ランニングを日常に取り入れる日々を過ごしてフルマラソンに挑みました。
が、30キロを過ぎたあたりで両ヒザを万力で締め上げられるような痛みに襲われ、
耐えかね、言い訳の言葉を探しながらついに歩いてしまった。
それでもフィニッシュゲートをくぐれたので、公式には完走扱いです。

でも、自分だけは知ってるんです。負けて歩いたこと。だからこそ春樹さんの一文に
衝撃を受けたんですね。あれは恥ずかしさや悔しさなんだな。
いや本当に、買うのよそうかと思ったくらい。

走ることについて語るときには、走る人の数だけいろんな語り方があるでしょう。
ただ、最後まで歩かないというのはマラソンの大基本であると同時に、
日暮れて薄暗い家路に怯えながらも自転車を漕ぎ続ける少年が最後まで泣かないで
帰ると心に誓うような、生き方の覚悟というか、そこまで大仰じゃなくてもいいけど
でも最低限の信念として背骨に刻んでおきたいものなのです。

今年のホノルルマラソンは12月9日。件の本を読むのに適した時期になりました。