お茶の水

お茶の水、という町が好きです。その地名、住所にはないんですね。そのせいか
表記も施設ごとにまちまちで、お茶の水、御茶ノ水、御茶の水と3種類もあります。

江戸時代は大名屋敷が連なっていたそうです。不思議な名前は、かつてここに泉の湧く
お寺があって、その水を徳川二代将軍の秀忠に差し出しところ
「よい水じゃ」と褒められ、以来将軍家に献上するようになったからだそうな。
御用番が毎日汲んで駿河台下まで下り、神田を抜け一ツ橋を走り、
平川門あたりからお城に届けたんでしょうか。

江戸城に近く大名屋敷があったことから推測するに、設えを基本とする首都らしさが
色濃い町だと思うんです。翻って現代の東京を代表するのは商業的に栄えた町に
なっているけれど、それも結局は設えなんですよね。
僕は、江戸の名残がほどよく枯れたお茶の水の空気が好きだなあ。
実際、忘れられていますしね。行かないでしょ? オシャレな情報もないしね。

高校生の頃は、土曜日になると学校帰りによく行っていました。
マックでハンバーガー食べて方々の楽器屋をめぐる。そのワンパターン。
高一の夏休み明けにバイト代全部使ってギターを買ったあとも通ってた。
よく飽きなかったなあと思うんだけど、今も時々ね、行くんです。

そうそう、楽器屋の店員はわかるんでしょうね。こいつは冷やかしだと。
それでも気になるギターについてたずねると親切に教えてくれる。
そういう感じは昔と変わってなくて、なんだかホッとします。
それがお茶の水に飽きない理由でもあります。
ずっと変わらずにいてほしいと思う町のひとつです。