みりん

昨日の土曜日、大人気(自分で言うな!)動画コンテンツでおなじみ『仕込み万歳』の
撮影仕込みをしてきました。何をつくるかはアップをお待ちいただくとして、
今回はみりんが鍵を握る料理です。
みりん。漢字にすると、味醂。平仮名のほうが字面がいいな。

鍵を握る存在ゆえ、料理人マサルさんは完成に2年かかる特別なみりんを用意しました。
聞くところによると、大量生産の家庭用みりんは2カ月くらいでできるんだってね。
料理によっては家庭用でもいいんだけど、みりんの力を最大限利用したい場合は
手間ひまかけてつくったもののほうがいい。

ここからは僕の想像ですが、その2年物みりんをつくる会社は、
戦後の高度成長期の中で相当に苦労されたのではないでしょうか。
大量=正解、少量=間違い。とにかくたくさん売って儲けたもんが勝ち、というのが
資本主義の理屈ですからね。けれど一気に駆け上がった高度成長という山にも
頂上はあり、一度登れば下るしかなく、下山途中で山の頂を振り返れば、
ここだけが僕らを楽しませる場所なんだろうかと誰もが考えたと思うんです。
あるいは標高は低いけれど緑の稜線が美しい山もあるんじゃないだろうか? 

そんなふうにして時代はやがて揺り戻しを求めるのです。
2ヵ月でできるみりんは安価で便利だけど、ここぞというときにはちょっとお高い
2年物みりんを使いたいね、本物をつくる会社が残ってくれてよかったね、みたいな。
これ、突き詰めると質と量をめぐる幸福論になりますわね。

そんなこんなで6月が今日で終わります。揺り戻しが多かった半年だった気がする。