夏の少年

土曜日に取材で会った少年(4歳)は、撮影中であろうと草むらにバッタの影を見ると、
立入禁止の看板などお構いなしに柵を乗り越えようとしました。父、あわてて止める。

彼の最近の自慢は、近所の愛宕神社でノコギリクワガタを捕まえたこと。
カブトムシはすぐに見つかるけれど、ノコギリはなかなかいないんだって。
そうだよなあ、クワガタは珍しくて、もし捕まえられたらちょっとした
ヒーローになれるよなあ。
なんて会話が平成かつ21世紀の首都圏郊外で成立する意外さに感銘しました。
しかし、いいよね。昆虫が好きな少年というのは夏のシンボルみたいだもんね。

彼との出会いに調子づいて昔の話をすると、さほど虫が得意でもない僕も夏になると
カブトムシやクワガタやカミキリムシなどを捕りに行き、虫籠に獲物を収めて家に帰り、
聞きかじりの情報でスイカや蜜をあげつつ飼育に挑んでみたりしました。
でも、たいがいすぐに死んじゃう。ひと夏の命だと大人に教わる以前に、
森や林から引き離してしまえば長生きできないことはそれとなく気づいていたんです。
それで死に対して深く考えたかというとそこまで深刻でもなく、
けれど昨日まで生きていたものが今日は動かないという事実に直面して、
死の実体みたいなものをそれとなく学んでいたじゃないかと思います。
そんなこんなで夏には特別に生と死を嗅ぎ取るのかしら。
土曜日に会った少年(4歳)のノコギリクワガタは元気かな?

オオフチさんの『NYほかけ舟』更新。ただいま帰国中です。