元日の風景

名もなき町のシアトル系コーヒーショップ。喫煙ルームのドアを最初に開けたのは、
60代前半に見える、いかにも父親って感じの、まぁお父さん。
そっと灰皿をテーブルに置きました。
続いて入ってきたのは、20代後半くらいの女性。ポニーテールに黒ぶちの眼鏡。
そして大きなマスク。普段は東京で働いてます、って雰囲気。
先に座ったお父さんをみつけて、その隣のテーブルに腰をおろしました。
娘さんなのでしょう。灰皿、ちょっと音を立てておく。

「お前、吸うのか?」
「吸うよ」

ぶっきらぼうな会話です。
そして娘はタバコより先にスマホを取りだして、スクロールスクロール。
さらに遅れてお母さんが飲み物を運んできました。
「それ、何やってるのよ」。スマホをいじる娘にお母さんが声をかけるも、
娘は無視気味にクリッククリック......。

どうでもいいような瞬間ですね。でもたぶん、お正月だから娘が帰省して、
何かの理由で家族で買い物に出かけて、そのどうでもいいような時間を
過ごしていたんだと思います。そんな瞬間がいつか愛しくなるんだぜ。
なんてね。その家族を遠くから眺めながらコーヒーをすする元日の僕でした。
散歩とかして、オレはおじいちゃんか?