「ステキですね」と言います

原稿を書く仕事をしていると伝えると、たまに「文章を書けるのっていいですよね」と
言われます。どれほどいいと思っているのかはいつも計りかねるのですが、
そういうご発言に対して僕はこう返しています。
日本語が書けるなら文章くらい誰だって書けますよ、と。
謙遜などではなく、まったくそうなのです。なにしろ最近はメールやらラインやら
何やらでかつてより日常的に何かを書く機会が増えているんですから。
いや、そういうことじゃなく人に読ませる文章が書けることがいいと意味なんですと
押し返す人もごく稀にいらっしゃいます。
ふむ、それにしたってメールやラインは誰かに読んでもらうためのものだから、
きっと十分に書けるはずと、別に意地になるのでもなく重ねてお答えするのです。
要は何であれ積み重ねです。何度も書き、書いたものを人に読んでもらう。
その繰り返しだけです。ひとつだけ職業的領域の特徴が存在するとしたら、
見たもの聞いたもの触れたものあらゆるすべてを文字にしようと
常に考えているという部分はあるでしょう。
それは、自分に「どう書く?」と問う以前の反射的な感覚です。
ただ、そうした感覚は写真家にも画家にも料理人にも美容師にも、
その他もろもろの職業人が持っているはずです。あるいは主婦もそうです。
だから僕は、誰かの職業や職能に対して「いい」とは口にしません。
「ステキですね」とは言いますが。

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