セーム革的な

ずっと欲しいと思っていながらも今日明日を急ぐわけではないので、
探し始めてから手に入れるまで時間がかかった、というものがありませんか? 
僕の場合はセーム革です。セーヌ川じゃなくてね。
そう言えばセーヌ川のほとりまで行きながらバスから眺めるしかなったんだよなあ、
次はいつパリに行けるのかなあ。
などと思考が揺らつく程度にしか欲しくなかったとも言えます、セーム革。
何に使うかというと、ギターの手入れ用です。キメが細かく滑らかなので、
宝石などのクリーニングにもよく使われるそうです。
高い吸水効果もあり、昔からクルマの洗車でも重宝されてきました。
しかし、どこで売ってるんだろう? 楽器屋でもなかなか見つからなかったし、
自動車用品店でもそう。さすがに宝石店には行きませんでしたが、
時には仕事で浅草橋方面へ出向いたときは小さな革屋さんをのぞいたりしました。
ふと、時間をつぶすために銀座の楽器屋へ足を運んだら、あったんです。
けれどその脇に、おそらくセーム革と同性能らしき化学繊維のクロスも売っていた。
汚れたら洗えるという特性も同じ。迷いましたねぇ。化学繊維は300円安かったし。
けれど、そういう場面における自分の性格というのを僕は知っているのです。
天然を選ぶ。明確な理由はありません。ただ、天然のほうがいいと思い込んでるだけ。
ルックスの好みはもちろん、先読みして何でもやってくれるかわいい女子型ロボットが
できても、たぶん僕は思い通りにならず寿命もある生身を選びます。
それでどれだけ苦労するか知っていたとしても。
などと思考がふらつくから僕の物欲は常にあいまいです。
でもきっと、人生にはセーム革的なものがいくつもあるような気がします。
なんのこっちゃ、という話ですね。