お言葉

原稿の筋書きを考えている途中である作家の言葉を引用しようと思い、
それが記された本を本棚で探ったのだけど、とうとう見つかりませんでした。
誰かに貸したままのような気がするなあ。うろ覚えですがという前置きで書こうとして、
原典なしじゃ説得力に欠けるだろうと結局断念。
記憶力の乏しさを憂いつつ、けれど一字一句完全再現は無理でも
真意は忘れない言葉はあるよなと開き直りました。
たとえば「どこかで誰かが見ている」。これは、僕がフリーランサーになった直後、
ある有名なコラムニストにフリーの極意をたずねたときにいただいた言葉です。
まぁ、一字一句完全じゃありませんが。
要するに、どんな仕事も全力を尽くしなさいと、そういう意味です。
これは今も肝に銘じています。
先日、連載の新しい担当者と会ったとき、以前読んだという僕の記事を褒められました。
そのお題に対してそんな展開はまず思いつけない。だから名前をよく覚えていたと。
ドキッとしました。自分で何を書いたかすぐに思い出せなかったから。
実はすごく短い文章なんです。現実的にそこまで褒められる内容ではないんだろうけど、
響いてくれた人と会って仕事することもあるんだねと、
少し時間が経ってからうれしくなりました。
怖いのは逆パターンです。こいつダメだなと思われたらたぶん会うことはないから、
僕のうかがい知れないところでそんなケースも少なからずあるんでしょう。
実力不足は仕方ない。それも悔しいけれど、下手くそなりに全力を尽くすことはできる。
お言葉通りに今日も精進精進。