さらば懐メロ

昔はよかったと過去を懐かしんでばかりの大人になんてなりたくない。
それはそうなんだけど、現実的には懐かしさを感じるものが
どんどん減っているんではないかと思うのです。たとえば懐メロ。懐かしのメロディ。
元は『なつかしのメロディー』というNHKラジオの番組タイトルだったそうです。
放送は1945年から1955年。今から70~60年前ですら懐かしむ歌があったことから
わかるように、どんな曲が懐メロになるかは世代によって違ってくるわけです。
一般的な意味合いでは歌謡曲ですよね。僕ら世代なら70年代かなあ。
重要な点は、誰もが知っている、空で口ずさめる大ヒット曲であること。
そういう懐メロ化し得る曲って80年代が最後だったんじゃないかと思うんです。
あらゆる大衆文化が多様化したでしょ。もちろんミリオンセールスも生まれるけど、
それが懐メロとして共有されているかと言えば、ちょっと怪しいですよね。
90年代に10代だった人が当時流行った歌を聞いて懐かしいと感じるのと、
戦後間もない時代の人が『なつかしのメロディー』から流れた曲を聞く懐かしさとは、
どこか確実に違う気がします。
それから、今の人は様々な情報源から過去の曲に触れ、新鮮なものとして聞けるでしょ。
70年代のロック好きな30代が僕の周りには多いしね。
ある意味で懐メロが今メロへと浸食されてしまい、
昔の人は何を懐かしがっていいんだかわからなくなってきた。
それで世代差が縮まったり無くなったりするかと言えばそうではなく、
年長者はただただ戸惑い、心の中で懐メロにさよならを告げるばかりなのです。
多様化って、いいんだか悪いんだか、よくわからないんだ。