命を考える物語

久しぶりにDVDを借りて映画を見たからってその話をしたがるってのもねぇ。
とは思いますが、『蜩ノ記』です。前に『柘榴坂の仇討』に続く時代劇。
藩の不祥事を背負う形で不名誉な罪を着せられ、10年後の切腹を命じられた
清廉潔白な武士が主人公のストーリー。主人公を監視する若い侍は
主人公の生き方に共鳴し、嘆願に動き、もう少しでそれが叶うところで、
主人公はやんわり否定する。そして罪状通りに......。
物語は淡々と流れていきます。それを眺めている自分の感覚にちょっと驚いたんですね。
切腹を受け入れているんです。古いしきたりとして、そういうもんだなと。
けれど、やっぱりイヤですよね。自分で腹を掻っ捌くなんてできるはずがない。
切腹は、ごく単純に言えば武士社会の上下関係をきっちり保つための制度です。
上の者に逆らうなら切腹ねと、それくらいシンプルなところが怖い。
そしてまた、武士の覚悟にもなっている。それでいいのか悪いのかはもはや問えません。
歴史だから。ただ、日本人の精神構造には今も根付いている気がするんですよね。
たった70年前の戦争も、武士や侍の在り様の極端な部分だけ煽っていたし。
自ら命を絶つというのは理屈を越えています。けれど現代社会では理屈や説明のほうが
大事で、その機会を与える余裕が必要。罪や責任はそれとして、追い込んじゃいけない。
そんな感想を抱いたのは時節柄かもしれません。
時代劇って命を考える物語なんだね。