空き家

友人の引っ越しを手伝いました。家に訪れるのは初めてで、
果たしてどれくらい荷物があるんだろうと思っていたのですが、
業者に頼むほどの量ではなく、けれど友人と僕のクルマを使っても往復2回は必至、
というのが僕の初見でした。
いずれにせよ、始めたら一気に片づけるのがこういう場合の最善。
まずは大きめの家電や家具から運び出します。
言うまでもなく部屋は少しずつ空間を広げ、
少なくとも昨晩まで機能していた生活の痕跡を消していきます。
やがて一部屋からすべてのものが運び出され、次にもう一部屋がクリアになる。
天井の照明器具を下ろし、不思議な形の壁掛けを外す。
すると見事なまでの空き家になりました。
引っ越しに要したわずか数時間で、その内側にはまったく別の空間ができたのです。
当たり前と言えばそうだけど、そのリセットの様があまりに極端で、
もはや役目を終えてそこに留まるしかないセミの抜け殻のような、
何とも言えない虚無感を覚えました。
魂だけがどこかへ吸い取られたみたいで、ちょっと背筋が寒くなりました。
これが荷物を運び入れる空き家ならまた違った感覚になるんだろうけど。
そしてまた、プロの引っ越し屋さんはそんなこといちいち感じないんだろうけど。