クモの巣と根無し草

飲食関係の友だちが何人かいますが、お店を持っているだけで大リスペクトです。
接客業に不向きで、料理もお酒も出せないから、元から素質も資格もないですけど、
お店ってクモの巣みたいでしょ。そこに居場所を構えたらお客が来るのを待つしかない。
積極的な営業もあるんだろうけど、いずれにせよ店という巣に来てくれなければ
絡め取ることはできない。僕には怖くてできないなあ。
今の仕事は根無し草みたいに不安定ではあるけれど、タンポポの種が風に飛ぶような
方法で働けるから、一カ所に留まることのほうが不安になるんです。
でも、中目黒の『安穏 戊』女将チアキは、
「お店をやっているからこそのよろこびですよぉ」と言いました。
12月1日、2週間の工期を終えリニューアルオープン。根無し草は駆け付けましたさ。
そういう記念日には来るなと言われても行くもんです。
従来のカウンターに加えて、ホールって言うんでしたっけ、いくつかのテーブルを
並べていた場所にももうひとつカウンターを設けた、
なかなかに意欲的な店内になりました。あ、写真を撮るの忘れた。
だからぜひ見に行ってください。
で、その新装開店に向けてたくさんのお花が届いたそうな。
「私たちが勝手にお店休んでリニューアルしたのにこんなに祝っていただけるなんて」
と女将チアキしんみり。4年半ですからね。
その時間分の信頼や愛情がその場所には向けられているのです。
それはやはり、場を設けた人だけが全身で受け止めていいものですよね。
たぶん僕には一生味わえない類の幸福です。

そんなわけで『仕込み万歳』鶏五目御飯の第4話をアップ。いよいよ炊き込みです。