殿様が望まない兼六園

旅程表通り日曜日は自由行動。そんなわけで念願(?)の金沢観光を敢行!
まず行ってみたかったのが兼六園です。仕事仲間のひとりは、「ただの庭でしょ」と
風情の欠片もないことを言いましたが、たぶんその通りでしょう。
ただ、何度か金沢に訪れていながら「兼六園すら見ていない」とこぼし続けてきた
自分へのお詫びみたいな気持ちもあり、せっかくなので足を延ばしてみたのです。
兼六園は、加賀百万石でおなじみの前田のお殿様がつくった庭園です。
起源は1676年。すでに340年に及ぶ歴史があるから、ただの庭では済みませんね。
江戸時代いっぱいは藩主のプライベートパークだったらしいけど、
明治になり観光目的で一般公開したそうな。
池泉回遊式庭園というだけあって池が見事。特に水が澄んでいたことには感心しました。
この時期の風物詩は雪づり。降雪で木の枝が折れないよう
縄で枝を吊る庭師の仕事です。木のてっぺんを頂点にした円錐型がとても美しかった。
毎年11月初旬から12月中旬まで、兼六園の庭師5人を中心に委託業者も含めて
延べ500人が雪づり作業に関わるんですって。
兼六園の雪づりがいつから始まったか知らないけれど、これだけ大きな庭を
維持するのは庭師を始めとする多くの職人が必要になったはずです。
そういう雇用を生み出したというのは藩主の功績かもしれません。
なのでやっぱりただの庭じゃないみたいです。
重複しますが雪づりは、冬の金沢の文化的名物です。
僕にしても金沢には、あるいは兼六園には、白い雪に覆われたイメージがあります。
「昔はフツーに1メートルくらい降ったんですよ」と教えてくれたのは、
金沢のとなりの白山市に住む26歳の女性でした。最近は10数センチ程度だそうです。
そんな状況が続くと、大掛かりな雪づりという作業は
やがて不要なものになってしまうかもしれません。
「地球がおかしくなっちゃったんですかね?」とその子に聞かれても、
僕には彼女が望む答えは見つけられませんでした。
けれど少なくとも前田の殿様は、雪のない兼六園の姿は望まないだろうと思います。

オオフチさんの『NYほかけ舟』更新! 彼の地の初冬はあったかいそうな。