はな子の気持ち

「ゾウのはな子を解放せよ」先月知ったニュースがずっと気になっています。
英国の新聞で報じられ、中国のメディアが取り上げ、様々な意見が飛び交ったそうな。
はな子は、井の頭公園で飼育されている60歳を超えたおばあちゃんのゾウです。
英紙では、「そんな長い間コンクリートの壁の中に閉じ込めるなんて酷すぎる。
おだやかな余生を過ごさせるために別の場所に移すべきだ。孤独からはな子を解放せよ」
と書いているそうです。
他方、同じ英国の研究機関ではこんな報告もあります。
動物園のゾウは運動不足やストレスのせいで平均寿命は約17歳。
野生の56歳にくらべるとはるかに短命。ふむふむ。
じゃ、はな子はどうなんだろう。野生より10年近く長生きしているということは、
それだけ大事に育てられてるってことじゃないのか? 
という部分に論点を合わせると面倒臭いことになるでしょう。
そもそも動物園って何なんだって話にもなるし。
僕が感じ入るのは、ゾウのはな子の気持ちが人間にわかるのか、ということなんです。
本当にはな子は孤独で哀れなゾウなのか? 
横道に逸れますけど、人間とチンパンジーのDNAは98.4パーセントまで
共有しているんですって。その差わずかに1.6パーセント。
同じ高等霊長類のゴリラと人間の差は2.3パーセントなので、
チンパンジーはゴリラより、少なくとも遺伝的には人間に近い生き物だそうな。
にもかかわらず、僕らはチンパンジーの気持ちがわからない。
しかも動物園に押し込めたりもする。
だいたい人間同士だって気持ちが理解できずに無駄な血を流す争いをするわけです。
はな子の件で、僕らはそういう生物だということを考えさせられた、
というのがこの話のさしておもしろくもないオチです。
いろんな意見はあるでしょう。でもきっと、はな子のそばにいる動物園の方々が
もっとも彼女の孤独を気に病んでいるのではないかと、そう思います。