「まぁまぁ」

地震のことばかり話すのも何ですけど、関東地方では日曜の夜にも起きて、
こう続くとどうかなあと思って独り暮らしの母親に電話などしてみるのです。
歳の割に元気な人なのでしょっちゅう出歩き、しかも弟が持たせた携帯電話が苦手と
言って携帯しないもんだから、家電にかけても不在の場合があります。
さすがに午後8時ともなれば部屋にいるはずですが、
もし出ないとなるといろいろ気を揉むことになります。
だからかける前は、ごくささやかな覚悟が必要になります。
ま、相変わらず向こうはそんなこと気にしていないようですが。
「息子の声を聞くとうれしくなるねぇ」
会話の最後はいつもそんな言葉で締めくくられます。
いっしょに暮していた頃はそんなセリフは一度も聞いたことがありませんでした。
父親が他界し、独り暮らしを始めてからのものです。
本当にそう思っているのでしょう。
歳を重ねるごとに、口幅ったいことでも口にせずにはいられなくなるのかもしれません。
こちらとしては、実のところ、母親をよろこばせるためというより、
自分が安心したくて電話をかけているのです。
それをエセ親孝行と呼ばれても返す言葉はありません。
までも、うれしくなるならそれでいいかと、そのセリフが出るたび、
「まぁまぁ」と適当に相槌を打つようにしています。
みなさんはどうですか? 
声くらいで親がよろこぶのって、なんかこう切なくないですか? 
子供が感じる人生の悲哀ってやつですか?

オオフチさんの『NYほかけ舟』更新。東京展示会、大成功のようです。