呆れるような本物

クルマを車検に出しました。平成8年に買ったから、今年でちょうど20年。
それ自体は特に自慢でも何でもないけど、さすがに20年も乗ってるというのはね。
呆れるような笑っちゃうような、変な感じです。
僕のクルマは、イギリスのランドローバーというブランドのものです。
30代の頃、そのブランドの専門誌の制作に携わることになり、
クルマ持ってなきゃ読者に示しがつかないだろうと勇んで手に入れました。
それは建前ね。本当は、たとえば都会を走っていても旅しているような気分になれる、
目線の高い大きなクルマが好きだったんです。だからここぞとばかり、でした。
その頃は、何年乗ろうとか、まるで決めていませんでした。
ただ、かなり大がかりな買い物だし、そう簡単に飽きのこない、
つまりは本物を持ちたいと、その思いだけは強かった。
そしてそれは外れなかった。ただそれだけです。
見た目の古臭さから、「壊れませんか?」とよく聞かれるけど、
路上で立ち往生したのはこの20年間で覚えている限り3回だけです。
僕にすればハイスコアですね。クラッチ液が抜けても帰り着けたし、
窓ガラスが落ちたって走れた。「ったく!」と声に出して罵りましたけど。
さすがに20年前ともなればあちこち傷み、ボロさにも風格が出てきましたが、
このクルマ以外を運転している自分というものがいまだに想像できません。
それほどまでに愛しているのかと問われると、愛とか好きいう感情とは
少し違うように思うのだけど、ただとにかく、他が見当たらないだけです。
僕にとっての本物とは、そういう存在です。
呆れるような笑っちゃうような嗜好ですけど。