仙崎

今日3月10日は、敬愛する童謡詩人、金子みすゞさんの命日です。
生まれたのは1903年(明治36年)4月11日。亡くなったのは1930年。
27歳になる直前に服毒自殺でこの世を去りました。不幸な結婚が理由だったそうです。
死因だけでその人の生涯すべてを語ることはできないだろうし、
それが本人の考え得る最大限の抵抗だったとしても、自らの命を絶つ道を選んだことで、
やるせなくもの悲しい人、という印象を持っています。
彼女の童謡誌自体がはかないんですね。誰にも理解できる自由奔放な既視感を
伴った世界観が特徴ですが、誰にも書けない独創性がきらめいていて、
そこには金子さんだけに見えるものの存在を強く感じます。
彼女の作品でもっとも有名なのは、5年前の明日以降、
ACジャパンのCMで何度も流された『こだまでしょうか』だと思います。
僕もそれを機会に金子さんを知り、あれこれ調べるようになりました。
たぶんまだ東京の夜が暗かった時期の2011年6月。
様子を見るという形で止まっていた旅の連載企画で、僕は金子さんが生まれた
山口県長門市の仙崎という港町に行くことを強く希望しました。
ささやかで清々しくて、とてもとても素敵な場所でした。
特に何があるというわけではないけれど(いえ、金子みすゞ記念館がありますが)、
肩の力をふっと抜いてくれるような優しい気が路地に流れていました。
そういうところで生まれ育ったんだと知り、金子みすゞさんの印象はまた変わりました。
個人的な「あれから5年」で、仙崎はもう一度訪れたい場所のひとつです。