二つの幕切れ

僕がスポーツに心動かされるのは、人生を凝縮したドラマがそこにあるからです。
そんなこんなで先週は、アスリートの終わり方を見ました。
ひとつはバドミントンの二人。もうひとつは水泳の北島康介選手。
バドミントンのほうは、何というか絶望的な幕切れです。
そう、まさに幕が開いている最中に突然芝居が打ち切られたような顛末で、
見る側にすればざわついた感覚しか残らない後味の悪いものでした。
対する北島選手は、人の愚直さを表現した最高にカッコいい最期でした。
見方によってはカッコ悪いとも言えます。
たぶん周囲は、「もういいじゃないか」という思いを忍ばせているはずですが、
北島選手だけは「まだよくなかった」んですよね。
もがいて苦しんで、必死で頑張っても欲しいものが手に入らなかった姿を
大勢の前で晒すなんて、こんなに勇気を必要とするカッコ悪さなんてないと思う。
そこがカッコいい。
そうして二つの幕切れを見た後に考えたのは、選手にとっては競技人生の幕が閉じた
(バドミントンの二人の正式な処分は知らないけど、これまで通りではいられないはず)
だけで、一人の人間としてのリアルなライフは上演の途中ということです。
特にバドミントンの二人の今後は、表立ったところでは語られなくなるでしょう。
でも僕は、ここから彼らがどんな物語を描くのかに強い興味を抱きます。
人生というのは、勝敗も成果も目に見える形ですぐには判明しない長いゲームです。
でも一つだけ言えるのは、特別な才能の有無に関わらず、
この世の誰もがそのプレイヤーであることです。生涯現役のね。