朝の品川駅

午前9時前の品川駅港南口に向かう通路を歩きながら、
社会や世間というのはこういうことなんだと思いました。
周囲は有名企業のオフィスビルばかりですから、その時間帯はみなさん出勤のために
港南口から出てくるわけです。その様子たるや轟轟と流れる川のよう。
そんな中で駅に向かうためには、人ひとり通れる程度の通路脇のスペースを、
まさに流れを掻き分けるように歩かねばなりません。ちょっとした恐怖を伴います。
でもきっと、大多数が一方向に向かう中では、
僕のような存在は非常識な邪魔者なのではないでしょうか。
とは言え個々人にはそれぞれの事情がある。たとえばラッシュアワーとわかっていても
赤ん坊とベビーカーを携えてホームに立たなければならないお母さんとか、
何をどう間違えたか大混雑の電車に迷い込んでしまった老夫婦とか。
あるいは僕のような自由業とか。
そうしたマイノリティは、そこに吹き荒れている嵐を知らなかったことを
詫びるようにして、端へ端へと歩を進める以外に術はありません。
それがいいとか悪いとか、ましてや轟轟と流れる川のような人々一人ひとりに
人格がないなどとは言いません。とにかくそれが社会や世間であり、
その流れを変えるというのは相当に難しいものだと思っただけです。
港南口から吐き出されるように出てくる人々の何人が、
あの時間帯の逆方向を歩いたことがあるんだろう。
逆に歩くということは、社会や世間から外れると思ったりしてるのかな。
いや本当に、朝の品川駅はもろもろヘビーです。