偶然の精度

ついこの間ですが、『NYほかけ舟』のオオフチさんと、東京23区の端のほうで

ばったり会いました。普段は文字通りニューヨークにおられる方ですから、

偶然にしちゃ相当なものですよね。

ゴールデンウィーク明けにアメリカへ戻ると聞いていたんです。

今回の帰国に際して、ちょっとした企画でお話をする機会をいただいていました。

けれど、それにしたって数年ぶりだし、直接会って話すための日程調整に

何度かメールのやり取りまでしたわけです。なのに、ねぇ。

知り合いの誰かと「こんなところで?」てな感じでばったり顔を合わせるたび、

そこにどんな偶然の精度または必然の確率があるのだろうと思うのです。

というのは、互いにすごく近くにいても会えないケースは多々あるはずなんです。

たとえば1分違っちゃえば角を曲がって姿が見えなくなるとか。

物語を俯瞰できるドラマ世界ではよくある演出ですよね。

ほらほら、すぐそこにいるよ。3歩走ればその背中に届くよ。ああ、横向いちゃった。

ほら見失っちゃった。ここで会えたら夕べの言い過ぎを素直に謝れたのに。

とか言っていると、彼は別の女の子と偶然ばったり......みたいな。

いやいや、僕とオオフチさんがそういう間柄という意味ではなくて、

どうしてそこで僕らは会えたのだろうと、こういうことが起こるたび感心するのです。

ほとんどの場合が会えない中で、ね。

「実は僕、ばったり名人なんですよ」

これは後日オオフチさんから届いたメッセージです。

ふむ、偶然にも名人級がおられるのか。ならば引き寄せられたのはこっちなんだな。