話し上手の困難

人のお話を聞く、というのが僕の仕事の根幹にあります。年齢性別ジャンルを特定して
いないので様々な方に会いますが、相手の話し方にある程度の類型があるんですね。
ここだけの話、もっとも困難を極めるのはどんなタイプだと思います? 
実は、話し上手な方です。しかも人前で喋る機会が多い方は、さらに難しくなります。
話し上手はなぜ難しいか? 相手が喋ってくれるんだからむしろ楽じゃないのか? 
あくまで類型に留まることですけど、話し上手は発言をキレイにまとめがちなのです。
美辞麗句のオンパレードとは言いませんが、ウケる話し方というか、
耳障りのいい言葉を巧みに使うので、ただの独宴会ならそれでいいんですね。
しかし限られた時間で本音の欠片を探り当てたい僕は、それじゃ仕事が成立しない。
どこかで聞いたような発言は書きたくない。というような場合、どうするか。
まずは相手が喋りたいだけ喋らせる。魚釣りで言えば、泳がせる。
そうして相手が事前に用意したであろう言葉をすべて使い果たしたところで、
さてそれではとこちらの聞きたい用件を繰り出す。時間はかかります。とにかく忍耐。
しかも相手は疲れているから、それでも話したくなる質問を提示しなければならない。
なんてね。大層な技術論のように語っておりますが、人にはその日の気分や体調、
あるいは僕との相性もあるので、常に同じ方法が通用するわけじゃありません。
ただ、話し上手と呼ばれる人の多くは、本音をガードするようなんですね。
自分に自信がないのだろうか。本音を口にして嫌われるのを恐れているのだろうか。
または本音自体がないのか、その辺を見極めていくのも大事です。
そうそう、本当にここだけの話にしてね。作戦がバレルと仕事がしにくくなるので。
あくまで類型的に、どんな人が取材しやすいかは、明日にでも話しましょうか。