優しいノイズ

ふと「優しいノイズ」というフレーズが浮かびました。これには原風景があります。
ずいぶん前に取材で行った、都心の高級かつ有名で歴史あるホテル。
その1階の広めのカフェは宿泊客が朝食をとる場所でもあって、
けっこうな数の外人さんで程よく席が埋まっていました。
そこの一席に一人で座っていると、静かに話す声や、接客で行き交うスタッフの足音、
皿とフォークが重なる音が遠くから聞こえてくるんですけど、
そうしたいわゆる雑音の響き方がとても心地よかったんですね。
一人きりでもさびしくないというか、適当に放っておいてくれるというか。
その午前中の雑音の優しさがこのカフェの魅力なんだと感心したわけです。
そしてできるなら、僕も誰かに対する優しいノイズでありたいなあと思ったんですね。
オリンピックと高校野球が始まり、例によって誰かに急かされるでもなく
焦燥感を募らせながらあちこち見渡しておりますけど、
開幕早々に思うような結果が出せない選手たちも数多くいます。
その日に合わせて幾日も練習してきたのに。
そうして肩を落として自分の場所に帰るような人たちには、
たぶんきっと優しいノイズが必要なんじゃないかと、
例によって誰に頼まれるでもなくそんなことを考えたりしたのです。

オオフチさんの『NYほかけ舟』更新。日本滞在中の近所の様子を伝えてくれます。