不遜な男、運を語る

友だちから聞いたのですが、僕も何度か仕事をしたことがあるカメラマンが
写真学校のゲスト講師に招かれ、大勢の生徒の前でこんな質問をしたんですって。
「自分は運がいいと思っている人、手を挙げて」
素直に従った生徒に向かって、そのカメラマンは言い放ちましたとさ。
「運がないと思っている人は今すぐカメラマンをあきらめてください」
発言後の生徒の反応もまた友だちはしらないんですが、もういいね。
この話にはしっかりオチがついた。
身も蓋ないですよね。ましてや未来ある若者に向かってむげもない。
これまでは運がないと思ったけれど、これからは呼び込むかもしれないじゃない。
でも、ある意味で、しかも現実的に大部分のところで、
ひとつの稼業を続けていくには運の良し悪しは存在しているように思います。
僕もそうです。今こうして何とか食いつないでいられるのは、
やっぱり運の良さとしか言いようがありません。
しかし実力だって少なからずあるだろ? あります。指先ほどの自信も備わっています。
けれど、それを与え育んでくれたのも結局は運じゃないかと。
だって、代わりはいくらでもいるんですから。そのなかでたまさか僕が選ばれ、
経験を積ませてもらい、現在に至っている。
じゃ、運って何だ? まるでわからないや。
この幸運を誰に感謝していいのかもさっぱりだ。
そう考えたとき、人は初めて謙虚になれるのかもしれませんね。
ゲスト講師の彼はどうだろう。不遜な印象が魅力的な男だけどねぇ。